Amazonプライムビデオ番組を全話視聴しませんか?という連続企画『今からプライムビデオのこれ見よう』。今回はシーズン2の予告編公開で話題の世界を震わせるクルマバラエティ『グランドツアー』シーズン1をセレクト。
本作はイギリス発の伝説とも言えるクルマ番組『トップギア』をアマゾンが予算を潤沢につかって復活させた番組。本作は制作決定のニュースだけでものすごく話題になりましたね。わたしは『トップギアUSA』は好きでよく見ていましたが、日本ではありえないスケールでクルマを楽しみつくすとんでもない番組です。シーズン2では2億円のクルマを事故で破壊したようですし。
未見の方に『グランド・ツアー』を楽しんでいただくため『白熱日本酒教室』などアルコールや発酵関連や自転車、ゲーム、グルメマンガなど多数の守備範囲をもつライターむむ@mu_mu_さんに1〜3話の見どころを案内いただきました。それにしてもこの3人、ノリノリですなぁ。***きんどうここまで
Amazonプライムビデオ独占配信『グランドツアー』をチェック
世界中で人気の自動車番組が帰ってきた『グランド・ツアー』
日本におけるアマゾンプライムビデオの目玉が『仮面ライダーアマゾンズ』や、『ぶらり路上プロレス』なら、世界における目玉はこの『The Grand Tour』に他ならない。それほど、制作が発表されたときには世界中のファンが大喜びをしたのだ。
とはいっても、知らない人は全く知らないと思うので、簡単に説明をしよう。
『The Grand Tour』はジェレミー・クラークソン、リチャード・ハモンド、ジェームズ・メイの3人で送る、自動車情報番組だ。
元々、イギリスのBBC放送の『TopGear<トップ・ギア>』という自動車情報番組があった。3人は、この番組の名物司会者として、世界的な人気を博していたのだ。公共放送(日本で行ったらNHKみたいなもの)で放送されていたということで、お行儀のいい車のカタログ情報を流すかと思ったら大間違い。3人がとても”イギリス紳士”な会話をひたすらしながら、世界中で車のレビューをしたり、工作したり、爆破したり、車を使ってありとあらゆる遊びをする番組なのだ。
日本を舞台にしたこともある。日産GT-Rを使って「車と○○はどちらが早く目的地にたどり着けるか」対決が行われたのだ。GT-Rを運転するジェレミーに対し、サンダーバードやのぞみなどを駆使するリチャードとジェームズが、石川県のなぎさドライブウェイから千葉県の鋸山まで競争した。
そんな風に世界をまたにかけての大活躍だったのだが、ジェレミーが同番組のプロデューサーに暴力をふるった事件が表面化したり、たびたびの舌禍事件などもあり、番組を降板させられてしまう。その後、リチャードとジェームズも契約を解除されて降板。番組は違う司会者で放送を再開するも、この3人がいないと物足りないと言われていた。
その伝説の3人がAmazon.comと契約を結び、番組スタッフそのままで新たに作り上げたのがこの『The Grand Tour』というわけだ。
1話のオープニングは、このことが頭に入っていないと、何が起きているのかわからないかもしれない。
雨のロンドンで、BBCから浮かない顔をして出てくるジェレミー・クラークソン。ラジオからはジェレミーの番組降板を伝える声が。ヒースロー空港からロサンゼルスへ向かうジェレミー。トム・ブラッドレー空港でレンタカーを借り、走らせていると背後から二台の車。そこにはリチャードとジェームズの姿が!
笑顔で二人に手を振り、アクセルをさらに踏み込むジェレミー。カリフォルニアの砂漠の中を三台は走って行く。いつの間にか、三人はたくさんの仲間達に囲まれていた……
番組降板から新しい形での復帰までを描いたオープニングだ。これだけでもうるっときてしまうファンは多いだろう。
そして涙を誘うような感動的なオープニングからは想像もつかないかもしれないが、やっていることは相変わらずだった。
見どころ1 車情報番組だけど何でもあり
Grand Tourとは、もともとは17世紀ごろから流行した、イギリスの貴族の子弟が行った卒業旅行だ。学業を修めた後に、数ヶ月かけて国外旅行して、見聞を広めるというもの。
今回の『The Grand Tour』もそれにあやかってか、さまざまな国を巡っている。舞台となるのは持ち運び可能な巨大なテントスタジオだ。このテントスタジオで世界中を巡り、さまざまなコーナーが展開される。
第1話の大きなテーマは「ハイブリッド・カー」対決。ジェレミーの推す「マクラーレンP1」、リチャードの推す「ポルシェ918」、ジェームズの推す「ラ・フェラーリ」の三台をさまざまな角度から分析し、実際に走らせて対決する。
ここで自信満々なジェレミーは「マクラーレンP1が最速のタイムを出さなかったら家を破壊してもいい」と言い出す。
「本当に壊すよ?」というリチャードとジェームズ。果たしてその結果は……
この破壊の模様はニュースにもなっていた。爆破をしたときには、近くの村で葬儀をしていたとか。なんて近所迷惑な!
また、時事ネタもいろいろと取り組んでいる。Googleの自動運転カーの話題になったときには「これなら私にも作れる」とジェレミー。10日前から作り初めて、完成したのがこちら。
すごいチープな気がするけれども、スマホで「進め」とか「戻れ」と言って操作できる! しかも動力はルーマニア人。GoogleがIT技術によって人間から仕事を奪っているのに対し、この車は彼に仕事と尊厳を与えていると主張する。
まさにやりたい放題。もう全編こんな感じだ!
見どころ2 車情報的に正しいドラマ?
第2話では、車のレビューというよりも、ドラマ仕立てで話が展開する。
ヨルダンにある特殊部隊を訓練するための街で、3人は訓練に参加。特殊部隊の一員として、テロリストに捕らわれた要人を救出し、大使館に送り届ける過程で車を紹介するのだ。具体的には、飛行機を追うために盗んだ車や、送り届けるときに乗る車だ。
ただし、訓練は誰かが死んだらやり直しとなる指令が出ている。
どこからツッコミを入れたらいいのかわからないぐらい、ツッコミどころ満載で展開していく訓練。何度も死ぬ3人。クリアできるところはおざなりになっていったりしていく。
ようやく要人を助け出すことに成功し、後は車で大使館にお連れするだけ! そこで唐突に始まるアウディのレビュー。
普通のタイプと比べてパワーがプラス80馬力と語るジェレミーに、銃撃戦の中でやることじゃないだろうというのは、リチャードがツッコミを入れていた。
アウディはドーナツターンができないとか、テロリストが立てこもっている飛行機に突入するための昇降車がジャッキ動作時に警告音を出すとか、車情報番組としてはかなり正しい。正しいけれども、こんなしっかりとしたミリタリーループコメディドラマにする必要はあったの? と「車オタク」は思うかもしれない。
この第2話は、ドラマがメインなので「自動車番組ではない」例外的な回ではある。実は、この例外的な回を楽しみにしているファンも多い。いわゆる「車オタク」ではないファンも多数いるのは、こういったドラマや、車とは関係なくやりたい放題にやるコーナーがあるからなのだ。
見どころ3 車のレビューもきちんとする
こういった破天荒な部分やドラマだけではなく、しっかりと車のレビューも行っている。しかも、かなり辛口だ。歯に衣着せぬ評価こそが、3人の真骨頂と言ってもいい。
特製のコース(エボラウイルスに似ているからエボラコースと名づけられた、世界一危険なコースを作った)を走ることもあれば、さまざまな地域で実際に走ることもある。HD画質で綺麗な景色と共に、車が映し出される。これだけでも見続けられるぐらいだ。
ただ、そんな中にもケレン味は忘れない。
第3話は海外旅行の方の「グランドツアー」をテーマに、3人がイタリアの街並みを巡る。用意した車はジェレミーが「アストンマーティンDB11」、ジェームズが「ロールスロイスドーン」、リチャードが「ダッジチャレンジャーSRTヘルキャット」。
アストンマーティンとロールスロイスが静かで、スムーズに走る車であるのに対して、ダッジは轟音を轟かせる。タイヤもすぐに消耗するから、タイヤを満載したトラックが伴走し、燃費も悪いからしょっちゅうガソリンスタンドに止まらなければならない。
あまりの雰囲気のあわなさに、リチャードをまこうとするジェレミーとジェームズ。最終的にはSNSで「リチャードがここにいるぞ!」と情報を流し、大勢に集まってもらって足止めしてもらう作戦に出たりする。
時折こういうシーンはあるが、車のレビュー自体は本当にしっかりとしていて、気に入らないところは気に入らないときっぱり言うので、実際に買う時の参考にもなるだろう。
あとがき
『The Grand Tour』が気になった人、興味を持った人は是非見てみてください。ちょうどシーズン2の予告編が公開されるなど、今ならまだリアルタイムに更新されるさまを楽しめますよ!
車が苦手で……という人も大丈夫。実際、幼少の頃から乗り物酔いをするために車が苦手で、車といったらベンツのマークぐらいしかわからなかった僕も見ているうちにはまってしまいましたから。最初は車以外のコーナーに興味を持って見始めても、だんだん車に興味を持つようになる、そういう意味ではかなり正しい車情報番組なのです。
また、シーズン1の全編にわたってネタバレありで語る「ネタばらし編」を8月11日頃に公開予定です。2日に1話ぐらいのペースで見ても十分間に合いますよ!
見る方は是非Twitterでハッシュタグ「#グランドツアー見てる」をつけてつぶやいてください。ネタばらし編で紹介させていただきたいと思います。一緒に『The Grand Tour』について語り合いましょう!
この記事にはAmazonプライムビデオ『グランド・ツアー』より、引用の範囲で複数のスクリーンショットを掲載しています。本画像の著作権者より通告を頂いた際はすみやかに画像を取り下げます。
Amzonプライムビデオで独占見放題『グランド・ツアー』シーズン1
ジェレミー・クラークソン、リチャード・ハモンド、ジェームズ・メイのトリオが「グランド・ツアー」で復活。番組のテーマは、冒険、刺激、そして友情…?(友というのは、非常にうっとうしい存在でもあると考えるならの話ですが。)自動車をテーマにしたトークを交えつつ、彼らと一緒に世界を股にかける冒険の旅に出かけよう。
ライター紹介:杉村 啓
醤油研究家、料理漫画研究家、お酒研究家などのさまざまな肩書きを持つライター。醤油とお酒(日本酒が一番多いかも)と料理漫画についてはおまかせください。著書に『醬油手帖』(河出書房新社)、『白熱日本酒教室』『白熱洋酒教室』『白熱ビール教室』(共に星海社)など多数。近著として、8月に『グルメ漫画史50年』(星海社)が出る……予定……
シーズン2も始まったグランド・ツアーを改めて最初から見ているけれどもやっぱり面白い!
Amazonプライムビデオ『グランド・ツアー シーズン 1 (字幕版) 』をチェック #グランドツアー見てる https://t.co/H3FbxxHyTG— むむ@醤油手帖3日目A-51a (@mu_mu_) July 18, 2017
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