Amazonプライムビデオで独占見放題 仮面ライダーアマゾンズ シーズン1 はもうみんな見てくれたかな? 今回は全話視聴を前提にしたネタバレ編。本編の魅力全部をノーカットでお送りします。
まだ見たことがないという方は 仮面ライダーアマゾンズシーズン1 導入編から、本編の視聴をどうぞ。フフフ、きっと超人フクさんの活躍に目が離せませんよ。特に、この記事では触れられてませんが。致命傷を追ったくらいどうってことない仕事人フクさんスゴイ。
さて、ネタバレ編も『オトナアニメ』スーパーバイザーである多根@bigburnさんに語っていただきます。Open Your Amazonz!! ***きんどうここまで
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拾った命がさらなる地獄への片道切符! 仮面ライダーアマゾンズシーズン1 ネタバレ編
主人公の一人・水澤悠ことアマゾンオメガ(劇中に「仮面ライダー」という言葉は一切登場しない)は人食いの人工生命・アマゾン細胞に人間の遺伝子を移植して誕生したヤバそうなやつだ。
が、まだシーズン1は平成ライダーの延長線という感があり、悠のヤバさにもブレーキがかかってる。ときおり激しい食人衝動に襲われるが、自分は人間だ!とアイデンティティにしがみつき、ギリギリで一線を踏みとどまる。「俺の中の俺(アマゾン細胞)」との戦いに手一杯で、倫理的にはニュートラルな存在だったりする。
そんな悠は、視聴者と同じ目線で状況に翻弄されるドラマのガイド役(平成ライダー主人公らしい)。むしろ周りの連中がヤバい。脱走して人食いに目覚めつつある4000体のアマゾン達、彼らを狩るために自分にアマゾン細胞を移植した鷹山仁=アマゾンアルファ。それ以上にヤバい奴らが…ということで、ネタ晴らし編のスタート!
アクションが色々とノーリミット!
アマゾンプライム独占配信によって、最も恩恵を受けてるのがアクションだ。まず、身もフタもなく言えば「カネがかかってる」ということ。
第三話〜第四話のアマゾンマンション編、マンション丸ごとロケで借り切りですよ。さすがに「183体のアマゾン」はセリフの上だけとして、屋上いっぱいに集まった軍隊アリアマゾンはCG合成で増やした(推測)分を差っ引いてもかなりの数だ。スーツ代、かかってますねえ。
ロケ地も「いつものさいたまスーパーアリーナ」は出てこず(見落としてたらスイマセン)、レストランや廃車工場など豪華さはないが凝ったチョイスが多し。撮影許可を取ることにも手間がかかってそうだなと。
もう一つはネット配信のために放送規制が一切なく、ニチアサではできない残虐行為しホーダイ。敵アマゾンに齧り付かれて血まみれは序の口で、やったなーコイツと頭から大切断でまっぷたつ。手足を引きちぎり、ベルトから引き抜いた武器で数体まとめて串刺し、アマゾン活け造りのフルコースだ。
その分、後半は前と同種のアマゾンが出たり(スーツの流用)、カニアマゾンはクモアマゾンの改造だったり、節約もチラホラ。そういうやりくりも含めて、ウォッチが楽しい作品である。
人食いアマゾンよりも人間がヤバい
アマゾン達を「ムシ」と呼んで殲滅していく駆除班のメンバーたち。カネのために命を奪うのは残虐に見えるが、そもそも彼らは「アマゾンとは何か」を知らされずに雇われているにすぎない。それぞれ「借金を返す」「養護施設に貢献したい」といった目的のためにやってるお仕事チームだ。
本当にひどいのは、不始末の尻拭いを駆除班に押し付け、自分たちは安全な場所でのうのうと見物してる野座間製薬の偉いさんたち。ちなみに野座間=nozamaのアナグラムであり、実はアマゾン本社も人食い生物を開発してるかも(ない)。
いや、見物してるだけならまだマシだ。183体のアマゾンが巣食うマンションから駆除班を撤退させるどころか、「駆除のいいチャンス」だからと踏み止まらせ、一時は全滅のピンチに陥れたこともあった。
そこで使われたアマゾン殺害ガスを改良して人体に害をなくしたことまではいい。それをドローンに搭載し、まだ食人本能に目覚めてないアマゾン達をまとめて殺りく! さらに、街中のアマゾンを一気に排除するトラロック作戦まで……。
社内にはドロドロした権力闘争もある。悠を生み出しトラロックを開発した水澤令華を敵視しているのが、橘雄悟。「悠(自分の遺伝子を組み込んでる)以外のアマゾンは皆殺しにしてもいい」というマッドサイエンティストじみた令華に対して、橘はアマゾンを兵器として金儲けがしたい。どちらもマトモじゃない……。
そんな二人の対立は、元・駆除班だった前原の死体にアマゾン細胞を注入した「第四のアマゾン」こと仮面ライダーアマゾンシグマを生むことになった。人間っておっかない! ほか、死体が見つかったものの、実は人間の連続殺人鬼によるもので、無害なアマゾンがそれに刺激されて覚醒し……というエピソードもあった。アマゾンズは人間不信の満漢全席なのだ。
「人とアマゾンの間」で揺れ続けた可哀想な主人公
悠は「自分は人間なのかアマゾンなのか」と振り子のように揺れ続ける。つまり、人間からも敵アマゾンからも「お前はどっちの味方なんだ!」と問い詰め続けられる、かなり可哀想な主人公だ。
駆除班に入った際は、本能に任せて暴れたかと思えば、ひっそりと生きたいアマゾン達を守ろうとしたり。本人にとっては「自分は何者なのか」は大事なことだが、お仕事でやってる駆除班メンバーには「お坊ちゃんの自分探し」にしか見えない。カネで動くやつのほうが信用できるというわけだ。
かたや、もう一人の主人公・仁はアマゾン絶対殺すマン。「人間を守り、人食いアマゾンを殺す」という信念に揺るぎはない、昭和ライダーみたいな正義の人だったりする。もと科学者という設定も、仮面ライダー1号の本郷猛と同じである。
でも、伝説のヒモ。日々のご飯も、住む家も、かなわない強敵から逃げるときの車もぜんぶ七羽さんに頼り切りだ!
殺すべきアマゾンの中には自分自身も含まれている。それぐらいブレない正統派ヒーロー(でもヒモ)の仁やお仕事意識の高い駆除班に挟まれている上に、悠=アマゾンオメガは戦闘面でも意外とボロボロ。額面上のスペックは高いのに、なぜ?
「食ってない」からですよ!
敵アマゾン達は素の能力ではオメガやアルファに劣るが、「人を食う」ことでパワーアップする。幼虫からサナギ、成虫へと変態するやつもいるぐらいだが、悠は迷いながらも食わない。暴れることで消耗するから、戦闘中にボコられたあげくにエネルギー切れで変身解除に追い込まれることもたびたび。
しかも義理の妹・水澤美月という「弱点」まで抱えている。病弱ということで引きこもっていた部屋に通ってた妹が武田玲奈ですよ、人食い生物の本性を見せたいわけないじゃないですか。
最後にぜんぶ持っていくモグラアマゾン
そんなわけでフラフラしながらも「人を食わない側」に踏みとどまった悠に代わって「一線を半分ぐらい超えちゃった」のが、駆除班の愛されキャラだったモグラアマゾンことマモル。エネルギー補給のために食べたハンバーグがたまたま人肉入りで、美味さに目覚めちゃったんですね。
大好物だったハンバーガー(人肉なし)を「美味しくない」と口をつけなかったとき、どれほど背筋がゾッとしたことか。そして仲間の三崎がごちそうに見えて「ちょっとだけ」(左腕)ですよ……。
アクションのクライマックスは「アマゾンであれ人間であれ、守りたいものを守る」というアマゾンオメガと、「アマゾンはすべて狩る」ことは譲らないアマゾンアルファとの死闘。しかし、仲間を食った(完食してないけど)件は水に流すという駆除班の誘いを断り、トラロックで生き延びたアマゾン達を率いたマモルがぜんぶ持っていきました。
ようやく仁と対等に殴り合い、主張をぶつけるまでに成長を遂げた悠。登場人物たちは己が信じる道を歩き始め……と大団円を迎えたシーズン1最終回。が、拾った命がさらなる地獄への片道切符になるのがアマゾンズだ。悠や仁、マモルはシーズン2でどんな姿で再登場するのか。
ヒント:いともたやすく行われるえげつない行為……としか言いようがない小林靖子さんの脚本が冴え渡るシーズン2も続けて観ようぜ!
#アマゾンズ見てるタグでの実況 → Twitter
Twitter実況にお付き合い頂いた皆さん、ありがとうございました! ここでツイートをいくつか引用させてもらいます。
この辺の着ぐるみ感はスタッフも気にしてたのか、シーズン2で相当改善されてるンだよね
コロンブスの卵的発想で感心したのでこれから観る方々は楽しみにして欲しい#アマゾンズ見てる https://t.co/Ivh0r7oL1S— 風来のビスコ (@inpass0609) July 6, 2017
シーズン1のアマゾン達は衣服モチーフ(マントやガーターベルト)だったそうですが、まぁ「いつもの平成ライダー怪人」感ありましたよね。クモやカニアマゾンもスーパー戦隊に出てもおかしくなかったという。シーズン2はコロンブスの卵……うん、予算の制約を上手く解決してたと思います!
既に2シーズン分くらい頑張ってるアピールしてる駆除班と温度差を感じるけど面白い #アマゾンズ見てる
— 牧夢 (@asadesu4) July 7, 2017
アマゾンマンション作戦(第三話〜第四話)から参加した悠と駆除班のギスギスっぷりについて。ママ(怜香)に言われるままに飛び入り、しかも「自分は人間かアマゾンか」と自分探しに来たお坊っちゃんが職場に来たら、そりゃあムカつきますよね……。
#アマゾンズ見てる 駆除班の絆が良くわからないというのはあるんだけど、食われても本望と思うぐらいには密な関係だったということでなんとなく察しておきたい。
— 樺太労働局 (@karafuto1979) July 6, 2017
そう、駆除班の絆って実はよく分からない。2年も生死をともにして、背中を預け合った仲ってことだろうけど、『エリア88』の傭兵仲間はもっとサバサバしてましたよ! しかしマモちゃんが5円玉ばかりの貯金缶を開けて「お金ならあるから」(第11話)といった背景には、いくつものドラマがあったんでしょうね……いやノザマペストンサービス、ちゃんと給料あげようよ!
ライター紹介:多根清史
『オトナアニメ』スーパーバイザー/フリーライター。著書に『宇宙世紀の政治経済学』『教養としてのゲーム史』『ガンダムと日本人』、共著に『超クソゲー2』『超ファミコン』など。現在、「あるゲームハードの書籍」執筆の大詰め段階です……。
アマゾンズ1期、久しぶりに見てる。2期の後だと仁さんが常識人の紳士に見えるw/ Amazonプライムビデオ『仮面ライダーアマゾンズ』をチェック #アマゾンズ見てる https://t.co/nF7HjMjlXn
— 多根清史 (@bigburn) July 5, 2017
そして、さっきまで命だったものが辺り一面に転がるシーズン2へ
アマゾンに育てられた少年・千翼と、アマゾンとして蘇った少女・イユ。異色な<少年と少女>による甘くも切ないジュブナイル恋愛ストーリー。激動のシーズン1から5年後の世界。千翼とイユの出会いが運命の歯車を狂わせ、混乱はさらに渦巻いてく……。新旧キャストを交えながら、前作をはるかに凌ぐスケールで物語は終末へ。【続編】ではなく、【新章】と呼ぶに相応しい仮面ライダーアマゾンズの世界を見逃すな!
【8月4日まで】東京でアマゾンズシーズン2完結記念イベントやってます
KAMEN RIDER THE DINER (東京) 仮面ライダーアマゾンズシーズン2完結記念コラボメニュー(8月4日まで)……さっきまでキムチだったものがお皿一面に…… https://t.co/yXWrXZ6aAH pic.twitter.com/lz8izQTwJs
— きんどう (@zoknd) July 18, 2017
あわせてどうぞ、多根清史さんの著書
教養としてのゲーム史 (ちくま新書)
「名作」「傑作」とされるゲームはいったいどこがスゴかったのか。新しいゲームジャンルはどのように誕生するのか。──それは、ゲームの歴史を「アイディアの進化史」としてとらえることで見えてくる。『インベーダー』『ゼビウス』『スーパーマリオ』『ドラクエ』『ときメモ』『ラブプラス』……数々の歴史的作品は、「創造性」「大衆性」「技術とアイディアの関係」などについて、大きなヒントを与えてくれる。ゲームを「学ぶ」時代の幕明けだ。