こんにちは、きんどるどうでしょうです。新企画「きんどうが気になってる新刊を代わりに紹介してください(仮)」。『昭和元禄落語心中』雲田はるこによるコミカライズ『舟を編む(上)』のレビューをいただきました。
本作は2012年の本屋大賞にも選ばれた三浦しをんの小説『舟を編む』。そして同タイトルの松田龍平・宮崎あおいらが主演の実写映画、そしてアニメ版に続いたメディアミックス作品ですね。
実写映画・アニメはプライムビデオで見放題。原作の光文社新書は7月27日まで50%ポイント還元セールを実施と、もう全部コンプリートしたまえよ!と素晴らしい状況になっていますね。
映画やアニメと違いほぼ原作通りのコミカライズ
『高い城の男』の紹介記事を書きました、ライターの@shachiです。今回は雲田はるこ『舟を編む(上)』の書評です。
三浦しをんという人の小説は、主点としてのカメラが興味のあるところから興味のあるところへと移り変わっていきそれがまた不思議と合う。呼吸が合うというやつかもしれない。その傾向は「風が強く吹いている」あたりから顕著になっていきこの「舟を編む」でも見受けられる。
今作はその忠実な別メディア作品、漫画版となる。「舟を編む」という作品は別メディア化をよくされている作品としても目立つ作品のひとつだ。
まず映画化をし、ヒットを放つ。主役の「馬締光也」の役を松田龍平が演じ朴訥なるも真っ直ぐなそのキャラをきれいに演じた。その映画もamazon Primeで観られる。 → Amazon『舟を編む』
そして、アニメ化。これはOPを岡崎体育の曲を使いその雰囲気と共に好評をもって迎えられた。こちらもamazon Primeで観られる。 → Amazon『舟を編む(アニメ)』
小説やアニメに共通したのは、表紙の絵に「元禄落語心中」の雲田はるこを起用したところだ。(小説は単行本は別で、文庫のカバーからとなる)
この漫画版は、満を持しての『雲田はるこ』版となる。もともとの文庫でのイメージから、映画。映画からの文庫のカバーと、イメージがカチッとまとまったところからの漫画なので、違和感なくスムーズに世界に入っていける。そして、この漫画の方では映画やアニメと違い、ほぼ原作通りに話は進む。(映画とアニメだと、少しだけ話が違っているのでその辺りにも注目すると楽しいです)
上巻では、原作で描かれたようなカメラのスイッチが「辞書の作成」という主題においてバトンタッチされるようにきれいに移り変わる。みているほうも違和感なくスムーズに。
そして、荒木から馬締へと渡されたバトンは馬締の人生をまっすぐ一本のゴールへと向かうように導いていく。恋愛をし、問題があり、つまづきそれを周りを巻き込みつつ紐解くようにゆっくりと着実に。それこそ舟を漕いで進むように、それこそ編み物のように失敗したら編み直し、またほどき編んでいくように。
読者の視点としては、荒木のときから馬締の視点になると読む人の目線と違ってくる。
馬締はとにかく集中する。のめり込んでいく。そこまで出来る人は少なく、だからこそ辞書編集というのは誰でもは出来ない、というのが見えて行く。
その為にいるのが西岡という、営業能力の高い「語り部」が用意されている。最初西岡という人は馬締とも違い、荒木とも違う。だが、読む人の目線には一番近く、段々と彼から馬締を観るというカタチで定着していく。
この巻では、読者とのやりとりを西岡を通じて馬締をみていく。だが、それが慣れたところで、西岡は辞書編纂室を離れることがきまり……。というところで、上巻は終わります。西岡はどうするのか、馬締はどうやっていくのか。辞書は? と次の巻が待ち遠しくなります。例え、原作や映画などで先を知っていたとしても。
AmazonKindle電子書籍で『舟を編む(上)』
舟を編む(上)
玄武書房・第一営業部に勤める馬締光也は、言葉に対する鋭い感覚を買われ、辞書編集部に迎え入れられる。新しい辞書『大渡海』の完成を目指し、言葉という絆でつながった人々とともに、馬締は辞書の世界へ没頭してゆく――。本屋大賞受賞の大ベストセラー小説、待望のコミカライズ!
光文社文庫50%ポイント還元セール(7月27日まで)
舟を編む (光文社文庫)
出版社の営業部員・馬締光也(まじめみつや)は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書「大渡海(だいとかい)」の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。定年間近のベテラン編集者。日本語研究に人生を捧げる老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。そして馬締がついに出会った運命の女性。不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作! 馬締の恋文全文(?)収録!
映画・アニメともにAmazonプライムビデオ見放題
舟を編む 2013
出版社・玄武書房に勤める馬締光也(まじめ みつや)は、営業部で変わり者として持て余されていたが、言葉に対する天才的なセンスを見出され、辞書編集部に異動になる。新しい辞書「大渡海(だいとかい)」――見出し語は24万語(……)馬締は彼女に気持ちを伝えるにふさわしい言葉がみつからない。問題が山積みの辞書編集部。果たして「大渡海」は完成するのか?馬締の思いは伝わるのだろうか?
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— きんどう (@zoknd) July 3, 2017