こんにちは、きんどるどうでしょうです。新企画「きんどうが気になってる新刊を代わりに紹介してください(仮)」。いま、話題のビジネス書『リクルートの すごい構“創”力』のレビューをいただきました。
リクルート流のビジネス書といえば、わたしは大塚寿さんの『リクルート式』を随分読み込みまして、きんどうの基盤づくりを考えてた際かなり参考にしました。本書はそんなリクルートビジネスをボスコントップが解説した1冊です。新規事業開発や、スタートアップなどビジネスマンが読むと意識が随分高まりますが、SNSの運用やブログの利用法にも応用可能なノウハウが満載のようですね。
また、今回はレビューアーな方が本書のモデルを利用してきんどうの書評企画を解説いただきました。こっ恥ずかしいですが、嬉しいものですね。ありがとうございます。
本書はすべてのビジネスマンが読むべき一冊である
松江だんだん道路(@matsue_dan_dan)と申します。非公開のアカウントですが、よろしくお願いいたします。
リクルートという会社について皆さん知らない方はいないでしょう。リクナビ、ホットペッパー、SUUMO、ゼクシィ、カーセンサー、スタディサプリ・・・。扱う業種は多岐に及んでいて、一体何屋さんなのか分からなくなるほどです。
そんな多彩で特殊なリクルートは、社内の仕組みについても、とても特殊です。そんなリクルートの新規事業構“創”の手法を、経営コンサルタントとして17年関わったボストン コンサルティング グループ (BCG)日本代表の杉田浩章氏によって記されたのが本書です。
本書では、リクルートの新規事業を成功させるためのメソッドについて、ホットペッパー、ゼクシィ、カーセンサーなど、実際の事業を例にとりながら、何が問題となり、どう解決していったかに沿って、誰にでも分かるように説明しています。
リクルートには、新規事業を進めるにあたっての思考の型、方法の型があります。それぞれサービスで扱う業種が異なるにも関わらず、いかにして圧倒的なシェアを勝ち取っているのか。その秘訣に迫ることで、皆さんが新規事業や経営企画を考えるときの、大きな助けとなります。
おすすめの業界は、スタートアップ企業やメディア業界。読者でいえば、起業家や経営企画、マーケティングやコンサルタントです。とはいえ、このメソッドは経営の上層部だけでなく、リクルート全社員に浸透しているものです。さらにいえば、これはトップダウンで行うためのものでなく、ボトムアップで提案されることよって真価を発揮するものです。ですので、本書はすべてのビジネスマンが読むべきものといって良いでしょう。
リクルートのリボンモデル
新規事業を生み出す際に、リクルートは上記の図を使います。この図はリボンモデルと呼ばれています。リボンの左側には私たちのようなカスタマー、リボンの右側にはサービスを提供するクライアント企業、そしてそれらの中心にリクルートを置いて、いかにしてカスタマーとクライアントのマッチングを最大化するかを、しつこく突き詰めていきます。
リクルートの特殊な点は、人の不満や不便といった「不」の解決を目指すところで、そこに新規事業を提案した本人の、思いの強さも重要視します。
私が素敵だと感じたのが、NewRINGやRV(RECRUIT VENTURES)といった、リクルートグループ各社の新規事業提案制度です。経営陣よりも新入社員や内定者といったボトムアップからの応募を推奨している点、さらに、「新規事業のアイディアを生み出す人はカッコイイ」という気風があり、高い実績を上げた人を惜しみなく称賛するという雰囲気が醸成されている点、そこが素敵だと感じました。
3つのステージと9つのメソッド
リクルートの新規事業は、何もない0から、1を生み出して終わりではありません。むしろその後が本領で、1から10の段階、つまり市場で圧倒的なシェアを勝ち取る段階を、徹底的に突き詰めていくところが優れています。成長や収益が見込めないと判断されれば、あっさりと撤退します。たとえそれが私たちにはうまくいっているように見える事業であってもです。事実、フリペーパー・WEBメディアのR25も、多くの愛読者を抱えながらサービス終了となりました。こうした容赦のない割り切り方は、なかなかできないところです。
本書は新規事業のみならず、多くの企画やプロジェクトにも応用できます。また、日々の業務にも参考となる点は多いはずです。
折しも今回、ユーザー参加型の書評(PR)記事依頼の企画が始まったこともあり、私は本企画を新規事業に置き換えて読み進めることができました。先日原稿料について2,000円~3,000円は「買い叩き」だとする厳しい批判があり、そうした点もマネタイズという点と絡めて、実際の問題として考えることができました。リクルートはマネタイズという収益の構造について、具体的に「誰」の「どこのお金」が動くのかについても明確にするので、素晴らしいと感じました。
リクルート社内の仕組みや独特な用語について、当初は戸惑いもありました。しかし、私たちが普段よく利用するサービスの裏側はとても興味深く、ワクワクしながら読むことができました。
さきほどのリボンモデルや3つのステージについても、シンプルな考えに基づいていて、表も繰り返し登場するので、理解につまずくことはありませんでした。リクルートの特殊さは、反省と洞察に裏打ちされた理由があることに気づき、突飛な行動をしているわけではないのだと、次第に納得することができました。リクルート式ビジネス書は数多く出ていますが、本書はその入門書でもよいのではないでしょうか。
今ではこのメソッドを、多くの企業や個人が基本的なツールとして利用してほしいと思っています。これをリクルートだけのメソッドにしておくことは、あまりにもったいなく、社会的な損失であるとすら感じます。
さきほどユーザー参加型の書評記事依頼を新規事業と置き換えて読むことができたと記しました。
たとえばこの企画でいえば、リボンモデルの左端を、私のような駆け出しの書評ライター、右端をamazonとして考え、その中心にきんどうさんがいると考えることができます。(このリボンモデルはあくまで一例です。リボンモデルに誰を置くかということも、このパターン以外にいくつも考えられます。)
次に「不」とは何かを考えたとき、わたしたちのような無名で実績もない駆け出しのライターにとっては、書評を書いても読まれる場がなかったり、プロの書評レベルはハードルが高くて尻込みするといった「不」があるでしょう。一方のamazonは、自社で書評ライターを揃えるための人的リソースがない、新刊はできるだけ早くPRしたいという「不」があるのではと考えられます。
そして、きんどうさんは、この書評企画というプラットフォームを設けることで、私たち駆け出しのライターに書く場を与え、amazonに対してはこれまでよりもたくさんの書評を提供できます。そうすることで、サイト全体が盛り上がり、収益が向上する可能性が出てきます。
また、マネタイズ、具体的に「誰」の「どこのお金」が動くのかについて考えたとき、ここではamazonのアソシエイトプログラムという広告宣伝費が、それに当たるといえるでしょう。その上で、サイトを運営していく上での諸経費や、きんどうさんご自身の人件費などを差し引いた金額が、具体的な動くべきお金のはずです。
こうした点を踏まえて、実際に企画としてテストしていきながら、少しずつ修正を重ねていく(たとえば同じ書評は、いくつまでならブログのPVと、実際の書籍購入に至ったコンバージョンがうまく釣り合うかなどを見極めていく)ことが大切であると、気づくことができました。加えて何より大切なのが、もしも思うような収益が見込めない場合、潔く撤退することもありだということです。
ITスキルや会計知識、プログラミングやコミュニケーション力など、ビジネスにはたくさんのスキルが求められています。本書で述べられたメソッドも、間違いなくこれからのビジネスで重要な要素です。本書には、ぐるぐる図や価値KPI、ナレッジ共有や10から先の段階など、まだまだご紹介しきれていないことが多くあります。ぜひ興味があれば読んでみることをおすすめします。
ビジネスマン必読です!
AmazonKindle電子書籍で『リクルートの すごい構“創”力 アイデアを事業に仕上げる9メソッド』
リクルートの すごい構“創”力 アイデアを事業に仕上げる9メソッド
リクルートには、個人のアイデアを拾い上げてブラッシュアップし、 驚異的なスピードと爆発力で展開するしくみを組織全体で共有しているのだ。 昨今話題の「リーン・スタートアップ」「アジャイル」と似た手法を、 シリコンバレーに先駆けて実践していたのがリクルートである。 本書は、第一線の戦略コンサルタントが、その手法を分析し、一般の企業に応用する方法を解説する。
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