こんにちは、きんどるどうでしょうです。新企画「きんどうが気になってる新刊を代わりに紹介してください(仮)」。ぽっちゃり人外女子たちのダイエットエロスコメディ シネクドキ『エルフさんは痩せられない。』第1巻のレビューです。
本作は編集プロダクションの方から推薦記事を頂いてますが、せっかくならと読者目線でのコメントもあわせてぜひ。最近グルメ系マンガが流行ってますし、今後はダイエットジャンルが増えてくかもしれませんね。現代社会の闇をするどく、そしてエロく描く本作を是非お楽しみください。
聞くところによると紙の方も販売好調だそうで早速重版かかったそうですよ。
やたらめったらのむっちり漫画『エルフさんは痩せられない。』
どうも、ハンハンス(@hanhans7th)と申します。今回ご紹介いたしますのはシネクドキ『エルフさんは痩せられない。』1巻であります。どういう漫画か。それは、現代の闇が生み出した、悲しい物語です。
当然嘘です。が、全くの嘘でもありません。この漫画の題名通り、エルフさんが痩せられない理由が、現代の高カロリー食、というかフライドポテト、という闇によって生み出されているからです。
ということで再度どういう漫画かと言う話をしますと、現代日本へと異世界からやってきているエルフさん(偽名は絵留札)が、元の世界に帰る為にダイエットをしよう、というものです。軽いネタバレをしますと、それは1話目で達成されます。絵留札さんが行った先の整体の従業員の直江さんの尽力によって、ダイエットを成功させ、見事異世界に帰っていきます。
はい。エルフさんが痩せられないのはずが、エルフさんが痩せて帰ったら、後どうするんだよ。という声はごもっともです。ですが、ご安心ください。この後もエルフさんが痩せられない状態は維持されていきます。
そもそも、絵留札さんが太ってしまった原因は、現代の高カロリー食、フライドポテトの闇に飲まれたからです(描き下ろしでわざわざフライドポテト数種を食べ比べるとかやるくらい、闇に飲まれています)。それは、元いた世界では味わえない、まさに魅惑の味。魔の味と言ってもいいでしょう。
それを知って、更に実はちょっと体重制限があるくらいで、結構簡単にこちらの世界にアクセスできる手段があるとするなら、あなたならどうしますか?
ということで、絵留札さんはフライドポテトの魅力には勝てず、更に一回痩せて帰られたからという謎ポジティブシンキングで、こちらの世界にまたしてもやってきて、またしても太ってしまったのでした。そして、そういう無精や運動不足によって現代日本にいる異世界人の方々は、他にも、という広がりへと向かっていくのです。
この広がり方はちょっと予想してなかったので、嬉しい不意打ちでありました。正直、絵留札さん単体でも十分に持っていけるポテンシャルがあるくらい、「あれ、エルフって、こんなのだったっけ?」という疑念に囚われるのが、絵留札さんなのです。この残念なエルフさんを見ているだけでいいのでは? という感想が出るくらいです。
このダークエルフさん(偽名は黒枝)との無駄な言い争いでの、「エルフとは……」感と言いますか、「一周回ってむしろこれがエルフなのでは?」という謎の悟りを持たらされる感覚は、なんというか新鮮味があります。新ジャンル(でもないか?)駄エルフの誕生と言えるでしょう。
とはいえ、この駄エルフ感というのは、他の異世界の方々との、というかダークエルフの黒枝さんとの絡みで主に立ち上がってきます。先の画像のように、二人はエルフとダークエルフ、と言うだけではないくらいに犬猿の仲です。会えば即喧嘩するくらいの仲です。
で、喧嘩すると上の画像の如き、なので絵留札さんが駄エルフなのも黒枝さんあってのものとも言えます。そして面白いのは、黒枝さんが真面目だということです。
寝てくださいの意味をはき違えたりしたりしているように、黒枝さんは本当に真面目です。実際委員長タイプです。というか、一般的なダークエルフ像とは違っているといえるでしょう。それは同時に絵留札さんが従来のエルフ像とまた違う方向性を持っているのと共鳴します。ぶっちゃけ中身入れ替えたらちゃんとエルフとダークエルフになるんじゃね? と言うと手っ取り早いでしょうか。
そういう意味では、二人でセットの感覚が、絵留札さんと黒枝さんにはあるのだな、とも。だからなのか、他の異世界の方達も、個々人で独特の雰囲気を持っていて、絵留札さんの駄エルフ感だけで押してこない、きっちり人外女の人わんさかコメディという部分を見せているのだな、と読むうちに理解出来たりします。
さておき。
この漫画は上記画像から分かるように基本はダイエットネタを絡めつつの人外女の人コメディ漫画ですが、同時にやたらめったらのむっちり漫画でもあります。主役格で指導役である直江さんからして、むっちり大好き人間ですが、それ以上に明らかにシネクドキ先生がむっちりが好きだと断言出来ると思います。
表紙の絵留札さんの腹肉辺りのむちっとした感じとか、絵留札さん以下、他に登場する異世界人の方々も例外なくむっちりしているとか、指摘する暇がないほどの証左がそこかしこに見られます。
で、そんな中でも黒枝さんのおしりのむっちりが最も良いむっちりと、個人的に信じてやみません。
このむっちりとした尻の感じときたら! ド迫力! そして尻圧のせいで魔法を使う為の礼装が着れなくて、というガチな悩みなんだけどどうしても笑ってしまうのも相まって、「この巻のベストむっちりは間違いなくここだろう」という謎の言葉がするっと出てきます。それくらいにインパクトの強い尻であります。
そして、この漫画はむっちりの理由をきっちり出してきます。先の黒枝さんだと運動不足と立ち仕事の為に下半身がむくんでしまって、とかですね。単にむっちりだからむっちり、というのではなく、一応の理由を立てて、だからこうするといい、というダイエット情報の流れを作っているのです。
漫画の主題である痩せられない絡みのコメディ部分と、自身の性癖を絡める見事なジョブだと言って構わないでしょう。ダイエット情報の方も過不足なく、話の流れを断ち切らず、というこれも見事なジョブで、言い過ぎると漫画と言う媒体が持つ情報伝播力を感じずにはいられないものでした。同時にこのむっちりいいだろう? って顔してくるのも含めて、趣味と実益を兼ねる、をまさに体現している漫画ではないでしょうか。
ということで、『エルフさんは痩せられない。』のご紹介でした。まとめると、むっちりを描く趣味とコメディを描く実益のバランスがきっちり取れた漫画、と言えるでしょう。ダイエット雑学的な部分を押さえつつ、むっちりをきっちり描くその姿。いいものだと思います。
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エルフさんは痩せられない。 1巻
エルフさんはなぜ肥えた? 世界初!?“ぽっちゃり”日常ファンタジー待望の第1巻!! ダイエットを決意したエルフが向かったのは・・・? 単行本描き下ろしショートに加え、よみきり連載「元祖喫茶セイレーン」「りんりんたぬき」も初収録。
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— きんどう (@zoknd) July 3, 2017