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【書評】九岡望の新作ダークファンタジーは死に損なった少年の復讐劇 『ニアデッドNo7(電撃文庫)』

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こんにちは、きんどるどうでしょうです。新企画「きんどうが気になってる新刊を代わりに紹介してください(仮)」。九岡 望『ニアデッドNo7(電撃文庫)』のレビューをいただきました。

作者・九岡 望さんは第18回電撃小説大賞“大賞”受賞『エスケヱプ・スピヰド』シリーズや、先日発売されて話題になったハヤカワ文庫『BLAME! THE ANTHOLOGY』にも参加している実力派。

死に損ない、不死身になった少年の"現代ダークファンタジー"。残酷描写にバトル要素多数の復讐と悲恋のボーイ・ミーツ・ガールのようです。


死に損なった少年の復讐劇 九岡 望『ニアデッドNo7』

目覚めた少年は、何者でもなかった。“再葬開始”の合図と共に、いつの間にか持っていた火の粉を纏う刃を振るい、異形の敵を倒すのみ。“境死者(ニアデッド) No.7”――赤鉄(アカガネ)。それが、彼に新たに与えられた名だった。なぜ自分は戦うのか――。No.6である美しき少女・紫遠(シオン)と共に、訳のわからぬまま死闘に身を投じる赤鉄は、やがてある事実にたどり着く。No.7の称号を持つ“先代”がいたこと、そして自分がその人物に殺され、No.7を“継承”したことを……。現代ダークファンタジー、開幕!

通りすがりのラノベ好き、雅@thinforeです。本作は、死に損なって「境死者(ニアデッド)」となってしまった少年が、「空巣岩市」で起きている事件を探る中で自分の過去と未来を取り戻す一巻完結?の復讐劇です

『ニアデッドNo7』は一人の少女「鹿島夕里子」が、全く知らない建物の一室で目を覚ますところから始まります。どうしてかび臭い寒気がする部屋にいるのか分からない。連れ去られたか、という不吉な予感を覚えながら逃げようとします。何本もの燃えさかる蝋燭に、溶けた蝋、ハエ。どう考えたって不気味です。

夕里子は早々に立ち去ろうとするが、出られない。そうこうしているうちにこの世ならざる物「外死者(アンデッド)」に遭遇します。夕里子は「捕食される!」と覚悟します。そこに颯爽と現れる「境死者(ニアデッド)No.7・赤鉄(アカガネ)」。本作の主人公です! 夕里子を襲う「外死者(アンデッド)」をバッサリと、次々と切り倒していきます! 定番ですがやはり格好いいものです。

ここまで読んで、巻き込まれ体質の少女を主人公が助ける異能バトルものかな、と思いましたが違いました。物語の鍵は赤鉄(アカガネ)自身で、最初から最後まで彼の復讐の物語でした

物語の舞台・空巣岩市で行方不明者が多数発生している事件が発生しており、これの調査を行うと仲間である「境死者(ニアデッド)No.6・紫遠(シオン)」から指示を受けます。この事件を追っていく中で、幾度となく敵と戦い、そして、生前の自分に何が起きたのか、何故自分が戦わなくてはならないのかを知っていきます。この何も持っていない赤鉄が謎を解いていく中で自分の過去を思い出し、何のために存在するのかを見つけていく過程も大変わくわくして良いです! 

……良いのですが! 自分は特に境死者(ニアデッド)と生者の関係・思いに心打たれました! 境死者(ニアデッド)という自身の立場があって、その立場がどういったものなのかを認識しているからこその、生者への対応。自身が人ならざる外死者(アンデッド)を倒す危険な立場で、そんな自分もまた人ならざるもの。決して相容れないのに、最初から特別な関係なんて結んではいけなかったのに。理性では生者と必要以上に関わるなんて駄目だと分かっているのに。それなのに惹かれてしまう感情!

立場が違う二人のお話ですよ? どう考えたってつらい! つらい話に決まってる! つらいことが分かっているのに、それでも読み進めてしまう!

復讐劇なの? 悲恋なの? どっちなの? とお思いになるかも知れませんが、これ以上は本当にネタバレになるので言えません。復讐と悲恋がどう関わってくるのか、少しでも気になった方は是非読んでください。そしてこのつらい思いをしてください!

この世界の底知れなさと、広がり、そして彼らのこれからの物語を期待できるような終わりかたになっています

また、イラストレーター吟さんのイラストも必見です。時にはクールに、時には可愛らしく、時には主人公の熱い感情を演出してくれるイラストは間違いなく読み手の感情を盛り上げてくれます。

私は悲恋の物語という印象を強く受けましたが、異能バトルものとして読むのも良いと思います。 境死者(ニアデッド)達の武器はもちろん、敵の武器も格好いいです。誰しもが一度は妄想したことのあるような武器も出てきますよ(私だけではないと信じたい)!

是非ご一読を!

AmazonKindle電子書籍で『』

ニアデッドNo.7 (電撃文庫)

九岡 望 (著), 吟 (イラスト)
価格:630円

目覚めた少年は、何者でもなかった。“再葬開始”の合図と共に、いつの間にか持っていた火の粉を纏う刃を振るい、異形の敵を倒すのみ。“境死者(ニアデッド) No.7”――赤鉄(アカガネ)。それが、彼に新たに与えられた名だった。なぜ自分は戦うのか――。No.6である美しき少女・紫遠(シオン)と共に、訳のわからぬまま死闘に身を投じる赤鉄は、やがてある事実にたどり着く(……)現代ダークファンタジー、開幕!

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