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【書評】メシとエロは親戚みたいなものだから! 瀬口たかひろの新作グルメドラマ『漫画家接待ごはん』

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こんにちは、きんどるどうでしょうです。新企画「きんどうが気になってる新刊を代わりに紹介してください(仮)」の10冊目。

『オヤマ! 菊之助』『ゆりキャン』など"エロス"でおなじみ、瀬口たかひろさんが漫画家×編集×グルメを描く新作マンガ『漫画家接待ごはん』第1巻のご案内です。

角川さんは最近編集者問題でセンシティブな状況ではありますが、まあ編集者全員が全員というわけでもないですし、こういう付き合い方もあるよとベテランならではのメッセージかもしれないですな。

イタリアのことわざだったか(うろ覚え)で、『一緒にメシを食えないやつとは仕事ができない』というのがあって、その通りとは思うのでアマゾンさんメシ奢ってくれないかなぁ。


メシとエロは親戚みたいなものだから! 瀬口たかひろ『漫画家接待ごはん』

はじめまして。笹木(@sasa_cookie)です。普段はツイッターで漫画の感想をつぶやいたり、よみコミ!という漫画感想ブログの運営をしています。
 
今回紹介するのは月刊少年エースで連載中の『漫画家接待ごはん』。
漫画家とごはんって何か関係あるの?と一見思うのですが、用件によって食事の場所が変わったり、編集者との繋がりの場であったりと意外と密接な関係があって驚くことがたくさんありました。



作者の瀬口たかひろさんは代表作『オヤマ! 菊之助』で人気を博し、秋田書店や講談社、白泉社、KADOKAWA、スクウェア・エニックスで連載経験を持つなど幅広い出版社で活躍中の漫画家です。



今回KADOKAWAで発売された『漫画家接待ごはん』は、「架空の漫画家・濱ケンジが打合せと称して美味しいごはんの誘惑と戦う。」というのが基本路線ですが、作者の色んな出版社での経験を生かした話や、九州を活動の拠点とする作者ならではの話など漫画業界の裏話をまじえながら、美味しく・楽しく・面白くごはんを紹介しています。



これまでの「瀬口たかひろと言えばエロ!」というイメージとは少し離れた作者の新境地ともいえるグルメ漫画です。とはいえ過去作のファンという方はご安心下さい。メインがエロじゃないだけで女の子は相変わらず可愛いです。鯖江ちゃんのおっぱいに顔をうずめたいですね。

瀬口さんもツイッター上で「エロとメシは親戚みたいなものだから」とつぶやくようにそんなに普段と意識は変わらないのかも?
 さて前置きが長くなりましたがこの漫画の魅力について語っていきましょう。
 

漫画家というお仕事

漫画は娯楽として多くの人を楽しませてくれますが、漫画家というお仕事はなかなか大変です。多くの仕事を抱え、〆切間際は毎回深夜遅くまで作業!なんて人もいれば、なかなか連載まで至らずくすぶった日々を過ごす人も数多くいます。



そんな漫画業界で「死ぬほど忙しいか死ぬほどヒマかどっちがいい?」という編集者の質問に「美味しいものを死ぬほど食べて死にたいですッ!!」と力説する中堅漫画家の主人公・濱ケンジ。案外本能に忠実な人こそ、この業界は生き残れるのかも?

美味しい!は楽しい!

ときに手厳しいことを話す編集者も、仕事に真剣だからこそというのが大半です。いつも厳しい顔の漫画家も編集者も、どんな人だって美味しい料理の前では笑顔がこぼれてしまいます。

グルメ漫画の魅力はこうした華やかな料理に想像を膨らませたり、実際に訪れたり、作ったりすることが楽しいですよね。

『漫画家接待ごはん』では実在のお店をモデルに描いているため実際に訪れてみたり、近場になければ似た料理を提供するお店を開拓するのも面白いかもしれません。諸事情により店名は出せませんが巻末にモデル店の案内があるため興味を持ったお店は調べてみるといいでしょう

 

食事は味も重要ですが、視覚や聴覚で楽しむのも醍醐味の一つです。この漫画ではお肉や魚料理などの馴染みのあるものはもちろん、こうした普段はお目にかかれない遊び心あふれる料理も多数紹介されています。興味を持った~とさっき書きましたが正直全部美味しく見えて困る、ついつい訪れてしまいたくなるお店の宝庫です。侮りがたし。
 

漫画家と編集者はどんなときに一緒に食べる?

1巻では色んな理由で漫画家と編集者が食事をします。食事の場所は内容によって様々。その中で特に印象的だったのは焼肉店の話で、この場所で打ち合わせをする編集者はあまりいません。

ではどんな場面で焼肉店に行くのか?3 パターンに分けての解説は雑学ポイントが上がり面白かったです。

焼肉回はこうした雑学の他にも、焼き方や食べ方にも個々にこだわりがあり、グルメ漫画あるあると漫画業界あるあるが上手く嚙み合っていて個人的にお気に入りの話です

編集者というお仕事

最近は編集者の質が問題視されることもありますが、大半の編集者は大量の業務のため夜中まで働いたり、漫画家のために東奔西走する人がほとんどだと思います。
この漫画では多少の脚色はあれど、編集者の苦労や思いやりが描かれています。

中には嘘っぽく聞こえる人もいるかもしれません。しかし若い頃には気付かなかった思いやりに瀬口先生が気付いたからこそ描けた漫画なのではないのかと私は感じました。
 
大部分は出版社の金で美味いものを食べたかっただ(ry 気付かなかった思いやりに気付き、お互いに尊敬しあえる関係になったからこその笑い話が漫画の中で展開されています。


個性の塊の漫画家に対抗できるのは、やはり個性の塊の編集者。荒波の中で揉まれてきた編集者の話は深かったり、苦楽を共にした仕事仲間だからこその腹の割った話があったりと、瀬口先生の作風的に女性が主人公の恍惚系グルメ漫画を想像してた分、このシーンはちょっとグッと来ました。
 
こんな感じで笑いありグッとくる話ありとしっかりとした作りのグルメ漫画です。グルメ漫画を好きな人はもちろん、今までなんとなくグルメ漫画が読まず嫌いだった人も手にとってみてはどうでしょう。美味しく楽しく面白いグルメ漫画です

AmazonKindle電子書籍で『漫画家接待ごはん』

漫画家接待ごはん(1)

瀬口 たかひろ (著)
価格:626円

漫画家と編集者が集うお店という名の戦場、そこで漫画家・濱ケンジは今日も打ち合わせと言う名の“デュエル”に向かう。和食・洋食・中華…あらゆるごはんの誘惑に打ち勝ち、濱は自分の主張を編集者に伝えきれるのか!? 漫画家vs編集者による打ち合わせ系グルメコミック!

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