こんにちは、きんどるどうでしょうです。新企画「きんどうが気になってる新刊を代わりに紹介してください(仮)」の5冊目。
"すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。"という、いじめをテーマに描いた辻村深月の新作「かがみの孤城」をご紹介いただきます。
辻村深月さんはここ3年連続で本屋大賞候補にも選ばれている人気作家。Kindle本としては高価格帯ですが、レビューの評価も素晴らしく今後話題になる雰囲気があります。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語、読み応えある小説を求めている方は是非参考にしてみてください。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語 辻村深月「かがみの孤城」
学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。 輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。 そこにはちょうど“こころ”と似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。 すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。
僕らはみんな闘っている
初めまして。片倉九時(@katakura_cz)です。今回、辻村深月著「かがみの孤城」の書評をやらせていただきます。
主人公の安西こころちゃんは不登校児である。そんなこころちゃんの部屋にある大きな姿見がある。その姿見がある日まばゆく光り、不思議に思い触ってみると吸い込まれてしまう!驚いた心が目を覚ましてみるとそこにはオオカミのお面をかぶった少女がおり、叫ぶのだ。
「おっめでとうございまーす!」
「安西こころさん。あなたはめでたくこの城のゲストに招かれましたー!」
そこは西洋の童話で見るようなお城で、こころちゃんと同じ不登校である6人を含めた少年少女が先の少女にゲームを持ちかけられるのだ。男の子はマサムネ、嬉野、スバル、リオン。女の子はフウカ、アキ、そしてこころちゃんだ。そしてオオカミのお面をかぶった少女である通称オオカミさんから『なんでも願いが叶う城』についてのルールが説明されるのだ。
さてこの物語の主人公のこころちゃん。不登校になった時、親は焦り、そして神経質になる。それは自分の子供が「普通の道」を歩まなくなったからだ。普通子供は小学校から中学、高校大学に進み、就職する。この普通のレールから外れると自分の想定外の事のためどうすればいいのかわからなくなる。そして子供の方もそれを敏感に察知して不安になり、憔悴する。
大人になって「普通」の道を外れるのは勇気のいることだろうが、できないこともないだろう。しかし、子供の時「普通」の道を外れる。もしくは他人から外されたらどうだろうか。不安でいっぱいになるであろう。
そんな時、自分の不安をわかってくれる人がいたら。仲間がいたら。どんなに心強いことであろうか。
私がこの本を読んで一番すごいなと思ったのは作者の心理描写のうまさだ。こころちゃんの困惑、怒り、喜びなどさまざまな感情を手に取るようにわかる。
思春期の頃。言いたいことがあっても感情が高ぶってしまうと語彙が少なくなってしまう事がなかっただろうか。言いたいことが沢山ある。けれど、感情の方が邪魔して「いやだ!」「行きたくない!」など短い言葉になってしまうのはみんなも経験あることだと思う。
言わなければ伝わらないのに、わかっててほしい。そんな我儘な欲望を抱いてしまう。そこらへんを上手に、丁寧に書いている。おかげで自分の思春期の頃の悩みも思い出してしまうそうだ。
だからこの本は小中高あたりの子や、そのぐらいのお子さんを持つ親御さんでなかなかコミュニケーションがうまく取れないと思っている方がいたら、是非おすすめしたいと思う。
この本を読んで一番自分に響いた言葉がある。それはフリースクール、学校にいけない子たちが行く所の喜多島先生の言葉、
「だって、こころちゃんは毎日、闘っているでしょう?」
そうだ。私たちは全員毎日闘っている。学校に行けてなくても、引き籠っていても、勿論学校に行ってる人だって働いてる人だって闘っているんだ。私たちは全員いつも闘っている。だから、休んだっていい。逃げたっていい。それも闘いの一部なんだ。
私はこの本をお勧めします。今も、過去も闘っている皆さんに。
AmazonKindle電子書籍で『かがみの孤城』
かがみの孤城
学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。 輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。 そこにはちょうど“こころ”と似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。 すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。
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— きんどう (@zoknd) June 15, 2017