ドラマ「嫌われる勇気」の第1話を早速見逃してしまった人文書担当・宮川くまです、こんにちは。ドラマ、面白かったのかな、原案本はさらに売れるのかなと気になりながら今日も重たい専門書を品出ししております。あ、本年もよろしくお願い致します。
さて、いつもは物理的にも売上的にも静かな人文棚ですが、年末はさすがに賑わっておりました。お店全体の客数が多かったこともありますが、売れ筋商品が登場してくれたことも大きいです。早速ご紹介しますね。
クリスマス商戦で賑わうリアル書店で売れていた2016年12月人文書新刊4冊+α
サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福
ビル・ゲイツ、ザッカーバーグ、サンデル教授も絶賛!ホモ・サピエンスの歴史を俯瞰することで現代世界を鋭く抉る世界的ベストセラー!世界48カ国で翻訳。 ※本電子書籍は、「サピエンス全史 上・下」の合本版です
まずは何はともあれコチラです。
発売は9月だったのですが、じわじわと評判を呼び、年末でさらに一伸びした印象でした。年始にNHKの番組で池上彰氏&堀江貴文氏が勧めたことによって、さらに売れ始めています。
リアル本はやや品薄なようで、売り切れている店もある様子。重版入荷は1月後半になるようなので、すぐに読みたい方にはより一層Kindle版がオススメな現状です。翻訳物でやや取っつきにくい文章かもしれませんが、「貨幣などの”幻想”を共有できたことがホモ・サピエンス繁栄の鍵だった」など、新しい視点を開いていて興味深いです。
Kindleでは無料の『試し読み増量版』もあるので、チラリと覗いてみていただければと思います。
泥があるから、花は咲く
苦しみや悲しみを肥料とし、美しい花を咲かせるために 乾燥した高原や陸地には、清流には蓮が育たず、泥沼、泥田の中にしか、美しい花は坂ないと言うのです。(本文より抜粋) どんなキレイな花も、泥がなければ咲かない。 泥は肥料であり、邪魔に見えても必要なもの。それは人にとっても同じ。 日本で多くの人生を救った僧が語る人生の意味とは。
売れ行きが急上昇する気配が濃厚で注視しております。年明けから問い合わせが急増しました。
著者の経歴が面白くて、仏教の道を歩いてきた尼さんなのに、キリスト教の施設である修道院での生活経験があるとのこと。文化交流事業の一環だったようですが、広い価値観をもって人生を眺めた人の言葉だからこそ支持されているのかなとも思います。
帯には、先日亡くなられた渡辺和子氏(ベストセラー『置かれた場所で咲きなさい』著者)の推薦文があり、問い合わせ急増の原因はその方面で何か本書の紹介があったのかなと感じております。
エッセンシャル版 図解世界5大宗教全史
宗教を知らずして、世界の歴史と今はわからない。 宗教は現代のビジネスマンの必須科目だ。 仏教、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、ヒンドゥー教。 多くの信者を持ち、世界の文化、政治、経済に大きな影響を与えている5つの宗教の成り立ちから教え、相互の関係を歴史的にとらえ、豊富な図解でわかりやすく解説するのが本書である。
半年前に発売になりジワジワと売れている『 図解世界5大宗教全史』のエッセンスを取り出した一冊。
元本の内容を図式化した本書は、とても理解しやすく、よくまとまっているなと感じました。図やイラストを眺めているだけでなんとなく分かった気持ちになれそうなほどです。こちらが出るのと同時に、元本も売れています。
ときめく縄文図鑑
大好評「ときめく図鑑」の新ラインナップ「ときめく図鑑+(プラス)」!第三弾は「縄文」。土偶、土器、縄文鍋に縄文人等々、縄文時代にどこか心を魅かれているあなたにピッタリの一冊をお届けします。さまざまな土偶や暮らしの道具、装飾品の数々。知っているつもりで知らなかった、心ときめく縄文人の感性に触れることができます。
日本史ジャンルは実は縄文時代ブームなのだろうかと密かに思っています。縄文時代本がパラパラと売れている中での新刊でした。
土偶や土器、出土物全般について、面白くてカワイイ解説が付されています。マジメな日本史の先生とかは憤慨しちゃいそうですが、こんなカンジのノリで歴史に親しむのはとても素敵なコトなのではないかなと思います。
〈ふつう〉から遠くはなれて ――「生きにくさ」に悩むすべての人へ 中島義道語録
不器用に生きる人への「生き方」指南の書『カイン 自分の「弱さ」に悩むきみへ』、仕事としっくりいかず、生きがいを見いだせない人に向けた『働くことがイヤな人のための本』(……)仕事、孤独、人間関係、対話、日本社会論…と、多岐にわたるテーマに思索をめぐらし、これまで65冊の本を書いてきた著者の主要著書20冊より人生に役立つ名文章をまとめた著者初の名文集。
哲学者中島義道氏の言葉をまとめたものではありますが、著名な過去の哲学者の言葉も添えられていて勉強になります。哲学者を列挙して生い立ちやら思想の方向性やらを解説した本よりも、こちらの方が各哲学者の言葉が身体に染み込んできそうです。
おわりに
年末、新刊が増えるとは言っても人文書はそもそも新刊少ないし?と思っていたら、店全体が想像以上の混み具合で怒涛の日々を過ごすハメになりました。今回は業界全体でも前年比が良かったようで、大晦日発売による苦しみも無駄では無かったのだなぁと喜びを噛み締めております。
この後の注目イベントは、社会学者・岸政彦氏の初小説がノミネートされている芥川賞選考会の行方、2月下旬の村上春樹氏新刊発売の2件。どんなお祭りになるのか、ワクワクしながら過ごしております。
この記事を書いた人:宮川くま
書店員。
漫画専門店・一般書店・出版社勤務を経て現在書店勤務。担当ジャンル履歴は、コミック・攻略本・文庫・人文書。
人生に大切なものは全て「ドラゴンクエスト」と『銀河英雄伝説』に教わった気がするほぼ40才。
この企画について:匿名書店員さんによるキュレーションをやろう
キッカケはこちらの記事『電子書籍をリアル書店への拡販と書店員の副業に活用する新メディアプロジェクトの協力者を募集します』で、電子書籍からリアル書店への誘導。もしくは書店員さんの副業として活用できないかなと。
現在、4名の書店員さんからお申し出をいただき、しばらくきんどうで記事掲載後新たなメディアを立ち上げる予定です。
思うにね、本のプロである書店員さんの専門知識はネットでもっと読みたいし、それはお金になる分野なんですよ。むしろ、わたしは参考にしたいからもっと出てきてほしい。
まだ、書店員さん(匿名)だけですがイベント案内やうちの気合のはいった本棚を見てくれ!なんて形でリアル書店さんとも組んで一緒にやっていきたいと考えてます。電子書籍に読者が流れるだけでなく、リアル書店・書店員も盛り上がるようなメディアを作っていきたいので興味のある方はぜひ、お問合わせからご連絡ください。ちゃんと売上に応じてお金もお支払します。
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