こんにちは、リアル書店員のケス・ノングです。
毎度毎度愚痴ってますが、いやー書店の売り上げは減る一方です。売上が減る→人件費が削られる→人手が足りなく細かいサービスに行き届かない→売上が減る→人件費が削られる、という無限ループに陥ってます。
そもそもの「売り上げが減る」要因の大きな一つが、みんな大好きAmazon様ですよね(笑)。
本なら一冊でも配送料無料。プライム会員なら本以外でも送料無料に加え、即日発送、時間指定、サービス圏内なら一時間で配送するPrime Nowなんてはじめられた日にゃあ、書店だけでなく小売りはもう泣くしかありません。といいつつプライベートではケス・ノングも使いまくってるんですが(笑)。
さて、Amazon様に打撃を与えられているのは、小売業だけではありません。Amazon様にとってなくてはならないサービスを提供している会社、配送業者もまた厳しい状況に追い込まれています。ライバルの佐川がAmazonから撤退し、一気に荷物量が増えたクロネコは、しかし配送料を買い叩かれ、荷物は増えども利益は増えないという泣くに泣けない状況です。
さあ、なぜこんな話を長々したかと申しますと、最近読んだ本がもろにこの問題を扱った小説で、めちゃくちゃ面白かったからなのです。この記事を読んでくれるような方は絶対に面白いはずですよ。
全面戦争! ア〇ゾンVSク〇ネコ!!
ドッグファイト
世界的外資系ネット企業に食い物にされる運送会社の男達が、知恵を絞って一矢報いる熱きドラマだ(……)「人を人としてみない企業が増えた。今の経済界には国士と言われる人がいなくなってしまった。いかに人件費を抑えるかという経営者ばかりで、その陰で多くの人が泣いている。こんな社会で本当にいいのか、この国のあり方を真剣に考えるべき時に来ていると思う」
徹底したコスト削減の労務管理、即日配送、特別会員限定のサービス、エリア内での一時間配送などであっという間に世界を席巻したアメリカ発の通販会社、スイフト。あ、Amazonではありませんよ(笑)。スイフトです。
彼らは名古屋に巨大物流ターミナルを作り、そこを拠点に「東名阪間での生鮮食品の当日配送サービス」を始めるプロジェクトを進めていた。ネックとなるのはやはり迅速で正確な配送部門。
主人公は業界最大手のコンゴウ陸送(クロネコじゃありません)の営業本部の課長、郡司。すでにコンゴウの運ぶ荷物量の三割はほぼ儲けのないスイフトの荷物。さらにスイフトから東名阪当日配送の仕事を打診され、スイフト側の強引な交渉により、引き受けざるを得ない状況に追い込まれる。
今でも現場は人手が足りなくて疲弊している。この上利益の出ない荷物の増加、しかもデリケートな冷凍、チルド製品の当日配送。スイフトは俺たちを食らいつくすつもりか――。
同じくネット通販の台頭でジリ貧に追い詰められていた、全国にコンビニ網を抱えるスーパーマーケットチェーン太陽堂(セブン&アイではありませんよ)はすでにスイフトの軍門に下り、名古屋ターミナルでの生鮮食品の仕入オペレーションをすることになっていた。このままではいけない――。
そんな時、郡司は東北の実家に帰省した際に、幼なじみの地元商店が面白いサービスを始めていることを知る。それを見て、郡司の脳裏にスイフトに一撃を食らわせるプロジェクトが閃いた。同僚を引き込み、上司を巻き込み、極秘プロジェクトとしてコンゴウ陸送が始めたあるサービスとは――。
戦闘機が互いに相手の背後に回り込みながら撃墜を狙うドッグファイト。コンゴウ対スイフトのドッグファイトの行方は? 一気読みの面白さです!
いかがでしたか? 特にセールにはなっていない商品ですが、ふだんからAmazonや宅配便をよく使っている方には絶対に面白い内容です。読んでみてください!!
この記事を書いた人:ケス・ノング
某チェーン書店で文芸書・文庫を担当。自分は人に薦めるくせに、人に薦められると読みたくなくなる天邪鬼。昔は年間300冊は読んでいたが、年々集中力が衰え今は年間80冊くらい。
Amazonプライムのおかげで映画やドラマも見てしまうので全然時間が足りなくて一週間が四週間くらいあればいいのに、とかバカなことばかり考えているからよけい本が読めないという悪循環に陥りがちな中年真っ盛りです。
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