こんにちは、リアル書店員のケス・ノングです。しばらくセール連発に振り回されていましたが、少し落ち着いたようなので、セールではない、内容のみで勝負!な本のおススメをしますね。
前回、「このミステリーは(別の意味で)すごい!」という特集があったのを覚えていますでしょうか。麻耶雄嵩作品の不思議で異常な魅力を語ったのですが、そこで紹介した「貴族探偵」がその翌日くらいに嵐の相葉くん主演で月9ドラマ化されることが発表されて正直ビビりました(笑)。あれをドラマ化とは、いい度胸してるな、フジテレビ!!!
さて、今回はその「このミステリーは(別の意味で)すごい!」の第二弾です。題して、「衝撃的すぎるどんでん返し編」!!
「犯人、あの人だと思ったらこの人だったのね!」てな生ぬるいレベルではない、これまで読んでいたあれやこれやをすべて投げ出してしまうような、過剰なるどんでん返し。ある意味これぞミステリの醍醐味です。どんでん返しすぎて、ストーリーの根幹を失いかねない、そんなバランス感覚あふれた愛すべきミステリを紹介します。
衝撃的すぎるどんでん返しを楽しめる作品紹介
星降り山荘の殺人
雪に閉ざされた山荘。そこは当然、交通が遮断され、電気も電話も通じていない世界。集まるのはUFO研究家など一癖も二癖もある人物達。突如、発生する殺人事件。そして、「スターウォッチャー」星園詩郎の華麗なる推理。あくまでもフェアに、真正面から「本格」に挑んだ本作、読者は犯人を指摘する事が出来るか。
本当は、どんでん返しのある作品なんて、「どんでん返しがあるよ」ということ自体がネタバレなんですよね。でもそう言っちゃうとこの特集が成り立たないのです(笑)。極力ネタバレはしませんので、ビビっと来たら即購入!でお願いします。
いやあ、これ、すごいですよ。だいたいどんでん返し系は、後から見ると「いや、それ卑怯やろ!」というのが多いのですが、これは完璧。絶対騙されます。しかもやられた感がさわやかというか、笑いながら「ちっくしょーーーー!」と言っちゃう感じです。
雪に閉ざされた山荘での殺人事件。居合わせた名探偵。クラシカルでいて、ニューウェーブ。ああ、これ大好き!!
○○○○○○○○殺人事件
アウトドアが趣味の公務員・沖らは、フリーライター・成瀬のブログで知り合い、仮面の男・黒沼が所有する孤島で毎年オフ会を行っていた。沖は、今年こそ大学院生・渚と両想いになりたいと思っていたが、成瀬が若い恋人を勝手に連れてくるなど波乱の予感。孤島に着いた翌朝、参加者の二人が失踪、続いて殺人事件が!さらには意図不明の密室が連続し…。果たして犯人は?そしてこの作品のタイトルとは?
もうね、教科書に載せたいような模範的なバカミスです(笑)。ここまできてどう落とすのかと思っていたら、まさかのウルトラどんでん返し。しかも超絶バカ!!
ちょっとエッチな展開も実は伏線…?
誰もわたしを倒せない
後楽園のゴミ捨て場に刃物で胸を一突きされて捨てられていた死体は、襟足から後頭部にかけての髪が、乱雑に、地肌が見えるほど切られていた。事件を担当するのは富坂署の三瓶と城島のコンビ。格闘技ファンの城島の指摘で、被害者がカタナというマスクマンではないか、という可能性が浮かび上がる。プロレスも格闘技も両方こなすという新しいスターだった。そして、さらに殺人が…。格闘技を真っ向から取り上げた初の本格ミステリ。
特殊業界ものという小説は多い。公務員、書店員、掃除人、学芸員、落語家…。いろんな職業の人が活躍する業界ミステリ。これは世にも珍しい、主人公が総合格闘家のミステリ。
それだけなら紹介する必要もないのですが、これはラストではなく途中がすごい。連作短編集なのですが、まさかの仕掛けがある話に仕込まれています。油断しているとヒクソン・グレイシーの如くいつの間にかマウントを取られてしまう羽目になるので気をつけて。おっと、これ以上は言えません!
この闇と光
森の奥に囚われた盲目の王女・レイアは、父王の愛と美しいドレスや花、物語に囲まれて育てられた…はずだった。ある日そのすべてが奪われ、混乱の中で明らかになったのは恐るべき事実で―。今まで信じていた世界そのものが、すべて虚構だったのか?随所に張りめぐらされた緻密な伏線と、予測不可能な本当の真相。幻想と現実が混ざり合い、迎えた衝撃の結末とは!?至上の美を誇るゴシックミステリ!
いやーこれもすごいです。何がすごいって、何にも言えないのがすごい。もう、読んでくださいとしか言えないです。すみません、これ以上言えません。買ってください。読んでください。驚いてください。
向日葵の咲かない夏
夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。
今や直木賞作家として高尚なブンガクを書いてらっしゃる道尾先生ですが、こんなグロ面白いものも書いてるんです。関係ないですが、逃走中の市橋達也容疑者が捕まった時に読んでいた本として話題になりましたね(笑)。
いや、それはともかく、もう脳みそぐらぐらするようなドラッグ的どんでん返しが味わえますよ。え? ええ? ええええ???みたいな。今でもあのざわざわとした衝撃をはっきりと覚えています。すげえですよう、これ。
おわりに
いかがでしたか?
じつはまだまだ紹介したい本はあるのですが、あまり多いと読むほうも大変でしょうから、これくらいにしておきます。評判が良ければ続きを書きますね。
さて、リアル書店では、ヤクで捕まった歌手のブログ本やら、某宗教に出家した女優の本やらが賑やかしていて、きちんとした「文芸書」がなかなかしっかりと売れないですね…。
村上春樹の新刊も出ますが、「文芸書の売り上げ」というよりは「村上春樹」というジャンルの売り上げみたいになっちゃっていて、小説という分野の底上げにはなっていないような気がします。今回紹介したものをはじめ、面白い小説は山ほどあります。紙だろうと電子書籍だろうと何でもいいです。小説読みましょう!
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