こんにちは、きんどるどうでしょうです。11月30日まで毎週更新のニコニコカドカワ祭りにあわせてご縁のあるライターさんにオススメ作品をいただく企画。第5週もライターのたまごまごさんから紹介いただきます。
今回は『メガロポリスノックダウン』『ブラック彼女』『ライラと死にたがりの獣』の3作品。それぞれ最近の作品ですね。共通するテーマはバイオレンス。萌えや異世界ファンタジーだけじゃない、俺たちのカドカワの幅広さを見せつけてくれますね。
ニコカド祭り2017 第5週のオススメ!
ニコカド祭り2017第5週目です。KADOKAWAの電子書籍は、もうセールなのも違うのもモリモリ安くなっていて、区別がつかなくなってきました。いいぞ、もっとやれ。
Z指定暴力ゲーでヘッドショットを決める女子小学生「メガロポリスノックダウン」
メガロポリス・ノックダウン 1 (MFC)
強盗、殺人、警官隊との銃撃戦までなんでもアリの18禁“クライムアクション”ゲーム、『メガロポリス・ノックダウン』。そんなバイオレンスなゲームに挑む女子小学生・鋭美の、波乱万丈ゲーマーライフ!
クライムアクションゲーム「メガロポリスノックダウン」を見て、魂を撃ち抜かれた小学生の鋭美。貯めていたお年玉貯金を使い、こっそりゲーム機を買って、親に隠れてプレイ。悪人になり、町の中を駆け回る。人を銃で撃ち殺し、ナイフで突き刺し、警察から逃げる。今まで感じたことのなかった、しびれるほどの快感!
NPCではなく人を撃ってみたくなった彼女は、オンライン対戦に乱入。しかしプレイヤーの初心者殺しでボコボコに。悔しくなった鋭美、たまたま見つけた男性・瀬戸口守を相棒に、この世界で生き残ることを誓う。
いわば「グランドセフトオート」みたいな、暴力バンザイなゲーム。マンガ連載当時も子供のレーティング破りネタが話題になりました。
もちろん法的にはダメ。とはいえ鋭美がこのゲームを全力で楽しむために、きっちり現実の生活を頑張るのを見ると、どう解釈すればいいのかわからなくなってきます。むしろプレイしている大人にダメ人間が多いんだもの。
鋭美はリアルで見つかったら、一発アウト。それ以上に30歳の守は、鋭美が小学生女子だと知って焦ります。早く縁を切らなければ、人生がやばい。
クライムアクションゲームをするために、リアルでクライムするはめに。善良な二人がそれでもやめられないのは、なんでもできちゃうオープンワールドゲームをしたことが有る人なら、痛いほどわかるはず。全力でめちゃくちゃできるゲームの世界は、あまりにも魅力的。
倫理やルールについて色々考えさせられる部分も多い作品。ですが鋭美が感じている快楽を見ているだけでテンションがあがります。悪いことをするのって、楽しいのです。ただし人に迷惑のかからない範囲で。
ヤンデレのオンパレード「ブラック彼女」はかなりの純愛
ブラック彼女 全4巻 (コミックアライブ)
背が低く学校でもいじめられてばかりのごく平凡な中学2年生・星野テルは、巨乳でクラスでも人気者の幼馴染み、天宮マヒルに思い切って告白しちゃった!? けどなんだか不穏な気配がして──…。
ブラック企業ではなく「ブラック彼女」。まともなヒロインが出てこない。主人公の星野は、クラスの元気な女の子・天宮が好き。ところが彼女は人格が変わると、平気で人を拳銃で撃ったり、バットで頭をフルスイングしたり、相手の関節を壊したりできちゃう、頭のネジがぶっ飛んだ「ミッちゃん」になってしまう。
あることが原因で星野のことが好きになり、追いかけてくる後輩の火鳥リリ。彼に振り向いてもらうために、頭から漂白剤をかぶったり、裸にして首輪をつけて監禁したり、放火をしたりと、これまたものすごい病みっぷり。他にも事故や怪我が大好きな女性刑事や、ドライバーで人の目をえぐる男性教師など、近寄りたくない人だらけ。
星野は、天宮からミッちゃんが生まれた理由を探すため、奔走します。ぶっ壊れた人たちが起こす行動は、なにもかもが迷惑。命の危機スレスレ。罪の意識がなく、常識を持っていない人ばかりなので、話しても理解してもらえない。
ところが時間が経つにつれて、みんなが自然体で星野と接するように見えてます。行動がおかしいだけで、根がピュアな人間ばかり。特にリリなんかは、まっすぐに星野に好意を寄せ続けており、いつしか一緒に行動するように、手助けしてくれるようにすらなっています。かなりひどいことしてきたのに、すごくかわいいって錯覚させられてしまう。
この「ブラック」さがどんどん「普通」になっていくのが、楽しく恐ろしい。4巻で完結です。ヤンデレな女の子たちがヤバイことするマンガを読みたい人に、ぜひともオススメしたい。
ぼくを殺しててんごくへつれてって「ライラと死にたがりの獣」
ライラと死にたがりの獣(1) (角川コミックス・エース)
亜人・アーロンに与えられた、ただ一つの生きる目的、それは「他者の死」。そしていつしか抱くようになった、ただ一つの願い、それは「自身の死」。一人の少女との出会いが、アーロンを「死に至る旅路」へと誘う…。
貧しい生活を送っているライラの両親は、マフィアが雇っている亜人のアーロンに惨殺された。怒りの中アーロンを殺そうとするライラ。ところがアーロンはライラを見て言った。「ぼくを殺して、てんごくへつれてって」。
朴訥としていて、でも簡単に人を殺しちゃうアーロンのキャラがいい。彼は幼いときから虐げられていたため、感情がありません。唯一、自分が持っていた絵本に出てくる、青い瞳の天使が天国に連れて行ってくれる、という文言だけを信じていました。この純真さがたまらなく、かわいらしい。
ぶっちゃけ、アーロンが天国に行くのは無理でしょうよ。殺しすぎたよ。しかし彼、経験を積んでいくと徐々に、思考するようになります。生き延びるためにアーロンから殺し方を教えてもらっていたライラは、彼と話すうちに哀れすぎる境遇を理解じて決意します。「あんたが私に殺しを教えるなら、私があんたに……心を教えてやる!」
心を持つことは、時として残酷です。アーロンは感情がないからモリモリ人を殺せたけれども、心が芽生えたら苦しみに押しつぶされるんじゃないだろうか。それ自体が、ライラによる「殺し」なんじゃないか。
いい人も悪い人も死んでいく中、黙々と旅をする二人のロードムービー。でっかいのとちっちゃいのの組み合わせって、「魔法使いの嫁」もそうですが、ものすごく見栄えが良い。でっかい方は素朴だとなおいい。二人には幸せになってほしいのは山々ですが、マフィア絡みで今のところ地獄しか見えないバイオレンスコミックです。
あとがき
「最新巻だけまだ半額じゃないです」というのは、歯がゆいような気持ちに。でも買ったばっかりで半額になるのもやりきれないので、なかなか難しい。
にしても新刊が半額になるなんて、電子書籍でしかできない……すごい時代です。来週のラインナップも楽しみ。
ライター紹介:たまごまご
tamagomago
http://d.hatena.ne.jp/makaronisan/
ライター。エキレビ、このマンガがすごい!web、ねとらぼなどで執筆中。著書に「仕事のマナー「気がきかない」なんて言われるのは大問題ですっ! 」など。女の子が殴り合うマンガをこよなく愛しています。デレマスは大槻唯P。ミリオンはロコP。
⇒ 続きを読むきんどう書きました。 『バイプレイヤーズ』名脇役6人 おじさんたちのテラスハウスは、とってもキュートでちょっぴりビター https://t.co/okq1MYyjOA @zokndさんから バイプレイヤーズ配信少なかったんだけど、プライムに来たよ!山田孝之も!
— たまごまご・オブ・ザ・デッド (@tamagomago) September 28, 2017