こんにちは、きんどるどうでしょうです。9月29日から毎週更新というニコニコカドカワ祭りにあわせてご縁のあるライターさんにオススメ作品をいただく企画をスタート。
第2週もライターのたまごまごさんから、ある日突然女子高生が獣人の世界に攫われペットにされてしまう『飼い主獣人とペット女子高生』や、自堕落すぎるJKの引きこもりマンガ『不登校の日常』。続刊が集英社マーガレットコミックスから発売されている『葬式探偵モズ』と3作品のオススメを頂いています。
たまごまごさんも仰ってますが、ニコカド祭り週替わり更新のはずがなぜか第1週分が継続の上、他ストア対抗で広範囲に半額状態と面白おかしいことになってますね。さすがカドカワ、やることが派手ですなぁ。
【寄稿記事】ニコカド祭り2017 第2週のオススメ
ニコカド祭り2017「50%OFFタイトル、1巻無料タイトルが週替わりで更新!」と書いてあったのですが……50%OFFタイトル、二週目は入れ替わりじゃなくて、追加されてるじゃん! 先週分もまだセールで残っている上に、さらに値下げされて70%OFFになったものも。タイミングを逃さぬよう、じっくり目を光らせておきましょう。
それでは今週50%OFF作品の中から、短くてさっくり読める作品をいくつかご紹介。
言葉の通じない獣人にペット少女は心を許せるか
飼い主獣人とペット女子高生 1・2 (MFC ジーンピクシブシリーズ)
帰省のため、ジノヴィの実家に連れて行かれたリラは、ジノヴィに恨みをもつ人外に襲われ――!? 大人気シリーズ「かじぺじ」人外×女子高生のペット生活、深まる!?
「人外+人間」のモチーフは『モンスター娘のいる日常』や『魔法使いの嫁』『ODETTO』など人気作が多数出ているジャンル。見た目のギャップの面白さと、そこはかとないエロティックな空気が魅力。
一方この作品は、普段は人間が食用で売買されている世界で、ペットとして飼われた女子高生のお話。見えないところで、ヒトはモリモリ食われている。設定は結構えげつない。鶏肉を食べつつも小鳥をペットとして飼うのと、同じなんだと思う。
普通に高校に通っていた17歳の少女。全く望まない形で、犬型獣人のジノヴィにペットとして飼われることになります。当然言葉は通じないから、何が起きているかわからない。逃げたい、怖くて仕方ない、いつ殺されてもおかしくない。リラと名付けられた少女は、愛玩人間としてジノヴィと共に暮らすハメに。相手は毛むくじゃらの大きな犬。とても好きにはなれない。
ジノヴィは、リラがかわいくてかわいくて超絶甘やかしています。でもリラにしてみれば、彼の感情なんてわからないから、のそのそ近づいてきて触れられるのが、恐怖でしかない。人間と、飼ったばかりのネコの関係ってこんななんだろうなあ。
2巻まできて、だいぶ時間がたっても、言葉は通じないままです。ああディスコミュニケーション。ひたすら愛情を注ぎまくるジノヴィ、途中からペットというより、娘に愛情を示す親ばかパパみたいになっています。
感情を押し殺して心を閉ざすリラが、ほんのちょっとずつジノヴィに近づくようになるのがいい。と言っても「好き」になるわけじゃなくて「いい犬かもしれない」程度。そばに寄っても大丈夫かな程度。元いた世界に戻る気は満々。
ジノヴィは「デレ」だけど、リラの「心を許す」は「デレ」じゃない。もちろん「ツンデレ」でもない。警戒心が解ききれない、リラの繊細な心の描写がうまい。
ずっと休載していましたが、最近連載が再開したようですので、この機会に是非。
いいから学校行け!心底憎たらしい引きこもりヒロイン
不登校の日常 (MFC)
高校2年生の早乙女雨音ちゃんは、今日も元気に不登校ライフ充実中☆ ネットとゲームとアニメが大好きな、ごくごく普通の引きニート。女子高生だから人間的価値はかなり上位のハズと、本人は思っていますが…。
「不登校」をする子には、なんらかの悩みや原因があるもの、と思いがち。このマンガはそういうのは、一切ないです、だらしないだけです。めちゃくちゃ迷惑です。なので何の気兼ねもなく「クズ人間め!」と叫んで大丈夫です。
高校2年生の早乙女雨音(さおとめ・あまね)は不登校生活を謳歌している最中。お父さんがゲロ甘なので、ピザ取り放題。ダラケ生活に全然困らない。
とんでもない内弁慶で、真面目な双子の姉の音晴(おとは)にはわがまま言い放題。基本音晴は雨音にきつく当たっているけれども、なんだかんだで優しいので、さらに増長してしまう。
『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い』は、コミュ障ヒロインが、そこそこに友達つくりたい、という自尊心と承認欲求の中で苦しむので、笑いの中に一片の寂しさや成長が見られます。わりと愛されヒロインです。
一方でこちらの主役は、本当に学校に行きたくない。友達はほしくない、目立ちたくないし、一生引きこもって遊んでいられれば幸せ、というダメ人間。しかもワガママが時折通ってしまい、周囲の方が悲惨な目にあうという展開もあり。ブラックユーモア度は高め。
ぶっちゃけこのヒロイン、愛しどころや共感どころは少なめ。全力で人生を逃げる彼女の図々しさたるや。愛嬌がないからこそ、ひどい目にあってもギャグキャラクターとして笑えます。ここまで同情の余地がないキャラも珍しい。
ただ、クズ度の高さは尋常じゃないのだけれども、その無茶を通してしまう理不尽な雨音の論調とやりくちは、不思議と見ていてスカッとする。後ろ向きに前向きなわがままって、自分じゃ言えないですしね。
葬式を探れば、人々の心が見えてくる
葬式探偵モズ(1) (カドカワデジタルコミックス)
祖父の葬儀に出席するなとの脅迫状を受け取った都は変人と評判の民俗学教授・モズを訪ねる。葬儀が専門の彼には“葬式探偵”という二つ名が…。葬式探偵モズがニッポンの葬式のアレコレをチマチマ解決します!
「○○探偵」と名を冠して、変わった推理をする作品は数多くあります。この作品はタイトルの通り、葬式がテーマ。
民俗学の教授の百舌一郎は、全国各地の葬式を調査するのがライフワーク。彼が葬儀の際、巻き込まれた犯罪を解いていったことから、葬式探偵という二つ名をもらうようになります。
日本の葬儀は今でこそ業者が行うものが多いですが、地域住民がしきたりを守って行っている地域もまだあります。たとえば栃木では、故人の着物は水洗いして絞らず干して、七日間毎日水をかけます。「七日ざらし」という風習で、故人があの世でのどをかわかさないようにするため、だそうです。
埼玉のある地域では、死者につけるカンムリ(宝冠・幽霊のイラストでよく描く三角形の布)を葬儀に参列する男性が全員つけ、女性は紙に麻縄をかけるそうな。冥土の入り口まで共に立ちますよ、という意味らしい。土葬の地域も、わずかではありますが、存在します。
葬式には、その土地の思いと歴史が詰まっている。一般的にはまず知られていないような地方の風習から、次々と犯罪を暴いていきます。
外部の人だったらまず知らないであろう奇妙な習慣。地域に寄り添って調べていけば、全てにちゃんと意味がある。そこから外れたところに、人の心のズレが見えてくる。推理モノとして面白いのみならず、民俗学マンガとしてよくできています。
二巻以降はKADOKAWAからは出ておらず、集英社マーガレットコミックスから1〜3巻(実質2〜4巻)として出ていますので注意。
おわりに
出たばかりの最新刊が(セールと関係あるのか無いのか)唐突に安くなってりもしているので、見極めて買いたいところ。ぼくは、最初は50%OFFとかになった一巻を買って、続きの巻の様子を見るようにしています。もっとも一巻面白かったらテンション上がって買っちゃうんだよなあ。Kindleこわい。
先週のニコカド祭りオススメ記事
ライターのたまごまごさんからオススメ作品をいただきました / ニコカド祭り2017 第1週のコレオススメ!小学生女児のヒモになるラノベから、絵に潜む恐ろしい歴史のエッセイまで - きんどう https://t.co/GZKiqAbYNX pic.twitter.com/23ZO0wrbcJ
— きんどう (@zoknd) October 2, 2017
ライター紹介:たまごまご
tamagomago
http://d.hatena.ne.jp/makaronisan/
ライター。エキレビ、このマンガがすごい!web、ねとらぼなどで執筆中。著書に「仕事のマナー「気がきかない」なんて言われるのは大問題ですっ! 」など。女の子が殴り合うマンガをこよなく愛しています。デレマスは大槻唯P。ミリオンはロコP。
⇒ 続きを読むきんどう書きました。 『バイプレイヤーズ』名脇役6人 おじさんたちのテラスハウスは、とってもキュートでちょっぴりビター https://t.co/okq1MYyjOA @zokndさんから バイプレイヤーズ配信少なかったんだけど、プライムに来たよ!山田孝之も!
— たまごまご・オブ・ザ・デッド (@tamagomago) September 28, 2017