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ニコカド祭り2017 第1週のコレオススメ!小学生女児のヒモになるラノベから、絵に潜む恐ろしい歴史のエッセイまで

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こんにちは、きんどるどうでしょうです。9月29日から毎週更新というニコニコカドカワ祭りにあわせてご縁のあるライターさんにオススメ作品をいただく企画をスタート。

第1週は『バイプレイヤーズ』のレビューを頂いたライターのたまごまごさんから、第1週(10月5日まで?)のセール対象より注目作をいただきました。

ラインナップは小学生女児のヒモになるラノベから、絵に潜む恐ろしい歴史のエッセイ、不登校の娘との日々を描いたコミックエッセイ、そして小学生女児のエロ本屋マンガと濃いサンドっぷりに脳が震えますね。//きんどうここまで


【寄稿記事】ニコカド祭り2017 第1週のオススメ

はじまりましたね、ニコカド祭り2017、カーニバルだ! 「50%OFFタイトル、1巻無料タイトルが週替わりで更新!」ということなので、11月末までめぐるましく入れ替わり続ける様子。嬉しいと同時に、その週配信のセールを見逃しそうでハラハラします。

文学、評論、コミック、ラノベとかなり幅広くカバーされたセールの中から、今年発売のホットな作品を、数冊オススメします。

読み終わったあと脳みそがシビれるオタク文化の極北

今日から俺はロリのヒモ! 1〜3 (MF文庫J)

暁雪 (著), へんりいだ (イラスト)
価格:各313円 50%OFF

ある日、藤花が俺に告げたんだ「先生、わたしと駆け落ちしてください!」って。え? これはさすがに事案じゃない!? 急転直下の第3巻!

今のオタク文化の極北がよくわかっちゃう問題作。

漫画家志望の高校生・天堂ハルは、絵はうまいけどストーリーはからきし。担当はついたものの、鳴かず飛ばず。ある日、小学生五年生の二条藤花が、大ファンだと言ってくる。

なんで高校なんかにわざわざ通ってるんですか?」「先生ほどの漫画家さんがお金なんかのために時間を無駄にするのは、文化的な損失といっても過言ではないです

彼女はパトロンになると言い出した。実は彼女は投資で儲けている富豪。ハルはすぐさま高校を中退し、藤花のためだけにマンガを描くヒモになる。

ハルは彼女のお金で同人誌を買う。コスプレ衣装を彼女のお金で買う。一巻で小学生のお金でソシャゲのガチャを回す(資料のため)シーンがあって戦慄したのですが、二巻では小学生女児にキャバクラ的接待(資料のため)するまでに。

巻を重ねるごとに自由気ままっぷりが加速します。それでいて、特に事件があるわけでもなく、ただただ甘い生活が続きます。読み終わったあと脳みそがシビれる。

この作品が追求するのはヒモの矜持です。ハルは藤花のためだけに(たまに)漫画を描き、彼女を楽しませるためにクズい道化になろうと全力を尽くします。

大好きな作家を手元に置いておくって、最高の贅沢なのではないか……? 少女が甘えさせてくれるバブみと、価値観の逆転で方向感覚が狂う怪作です。 4巻だけ今週のセールに入っていないのでご注意を。とはいえ正直4巻のロリノーパンしゃぶしゃぶは見てほしいので、セール入り今後しないかなあ。

あの有名な絵もその背景を掘るとゾクッとする

新 怖い絵 (角川書店単行本)

中野 京子 (著)
価格:972円 50%OFF
★★★★☆ 9件のレビュー

「怖い絵」シリーズの大ヒットで知られる中野京子が、満を持して刊行する続編。モネ、ミレー、シャガール……誰もが知るきれいな名画に、まさかこんな怖い物語が潜んでいたとは……。

3月に配信された「怖い絵」シリーズの最新刊。世界中で知られる絵画を紹介していくエッセイです。カラヴァッジョ「洗礼者ヨハネの斬首」のような、見るからに怖い絵。猟奇殺人鬼ジョン・ウェイン・ゲイシー「自画像」のように、描いた人が怖い絵。そして、誰もが知っていて当たり前に目にするけれども、実はその背景を掘るとゾクッとする絵がたくさん紹介されています。

たとえばミレーの「落穂拾い」。教科書にはだいたい載ってます。3人の女性がかがみながら、畑に落ちた落穂を拾う、一見すると牧歌的な作品です。しかしミレーと同時代の人はこの絵に怯え、一部忌み嫌う人もいました。ミレーが描いたのが、生々しい農民だったからです。

当時の画家が描いた農家は、明るくて健康的、若々しく裸足で働く姿の方が評価されました。それが理想だから。貧困を見ないですむから。

なのにミレーが描いた3人の女性は、実は農民じゃない。雇われでもすらない。刈り取りが終わった畑に勝手に入って、こそこそ拾っている極貧の人たち。それに対して文句を言わず見逃している地主の喜捨の精神。

上流階級の人にしてみれば、共産主義が芽を吹き出した当時、下層労働者が団結するのは恐怖そのもの。こんなリアルは見たくない、と。発表されるや否や、「秩序を脅かす凶暴な野獣」など、叩かれまくり。賤民の思い上がり、と言う人まで出ました。

現実はファンタジーより怖い。シャガールやモネ、ダヴィッド、ゴヤなど、数多くの名画が当時の文化風俗を元に解説されているので、世界史の勉強のお供にもなります。Kindle版の「怖い絵」一作目は、半額でこそないものの同じくらいの分量でお安め。こちらも、ドガ「踊り子」やムンク「思春期」ゴッホ「自画像」など、見たことあるものばかりのはず。

セール対象外: 怖い絵 (角川文庫), 怖い絵 死と乙女篇 (角川文庫)

起きた出来事や浮かんだ感情も、綺麗事抜きであけすけに

不登校の17歳。 出席日数ギリギリ日記 (コミックエッセイ)

青木 光恵 (著)
価格:540円 50%OFF
★★★★☆ 4件のレビュー

中学3年間の不登校に続いて高校でもいじめにあい不登校になってしまった娘。 逆境を乗り越える家族の物語――! 低空飛行でもだんだん成長していく高校3年間を描く波瀾万丈の子育て終盤戦コミックエッセイ。

作者・青木光恵が、不登校になった娘との生活を描いたコミックエッセイ。「中学なんていらない。 」の続編で高校不登校生活を描いたものです(こちらはセール対象ではないので注意)。

一番の見どころは、不登校児の家族が、進学に際して考える費用について、ものすごく具体的に書いていること。やはり親としては、娘が大学に進学したいと言うのなら、せめて一度くらい楽しい学生生活を送らせてあげたい。

といっても特待生は無理。何より学力的にも内心的にも、入学できる安心要素がなにもない。
「うちだって進学しないって言ってくれたら肩の荷が下りるよー!!」
「500万も借りることになったら不安やよー!!」
「大丈夫!?私生きてる!?」

ここで実際の経験談として紹介されるのが、AO入試のシステム、教育ローンの組み方、奨学金。一筋縄ではいかず苦労に苦労を重ねていますが、なんとか乗り越えています。ここは多くの家庭でかなり参考になるはず。

起きた出来事や浮かんだ感情も、綺麗事抜きであけすけに描いています。娘がいじめられた話。学校に行けない日が多いのに学校を辞めないことへのはがゆさ。そのかわり塾に通わせてお金がかかる苦労。助けてあげたい親心と、自分のストレスの限界。

閉鎖的だった娘が、自らバイトをするようになるシーンは、ちょっとドキッとする。理由はアニメとアイドルにハマったから。偉大だー。

フラットな視線で生々しく家庭の様子を描く作品。もちろんハッピーエンドではなく、生活はまだまだ続く。続編が出ないことが一番の幸せです。

かっこいい。だがこれを言っているのは女児だ。

放課後の本屋さん (MFC キューンシリーズ)

右左もりもり (著)
価格:324円 50%OFF

小学生の主人公・つばさは学校が終わると祖父の本屋さんで働いています。その本屋さんにはちょっぴりエッチな本が置いてあり、小学生が働くにはちょっとだけ大変です。

「エロスとは! ただ単に露出の高いものや、欲情のためにあるものではありません!! 芸術! そして美学! 人類の希望!! それがエロスなのです!!!」

かっこいい。だがこれを言っているのは女児だ。

エロ本専門店で働く女子小学生・桐生院翼の細腕繁盛記。彼女はエロ本をこよなく愛する少女。お店の経営には誇りと自信を持っています。桐生院書店には、エロが苦手なサキュバスのアルバイト・天野夢魔、同じ小学生で健全推進会の会長を勤める一色いろは、幼稚園児エロ漫画家のみるくなど、様々な人間が訪れてきます。

アダルト文化が好きな小学生と言っても、変態なわけでも、色情魔なわけでもない。むしろかなり生真面目。彼女がエロ本にこだわるのは、ひとつは純粋にリスペクトしているから。

もうひとつは、普段なかなか素直に出せない年相応の感情を、エロ文化に浸ることでささやかに逃避しているから。エロ本が彼女の武器であり、鎧です。

「私のおウチはHON屋さん(スクウェア・エニックス )」とあわせて読むとかなり面白い。「HON屋さん」は親に振り回されてエロ本屋の手伝いをしているうちに身についてしまった家族物語なのに対し、「放課後」は自らエロ本屋を繁盛させようとすることに夢中で、仲間の存在もあり部活動モノに近い。

女子小学生+エロ本、っていう一般書ジャンルができてもいいと思います。

最新刊だけセール対象じゃないとか、前作が半額じゃない、というのもあるので、あわてないで半額のものだけ先に買い、来週以降目を見張らせるのがいいんじゃないかと思います。ぼくも次の週何が来るのか戦々恐々としながら、浪費する予定です。

そのほか、ニコニコカドカワ祭りセール作品まとめ

ライター紹介:たまごまご

tamagomago
http://d.hatena.ne.jp/makaronisan/

ライター。エキレビ、このマンガがすごい!web、ねとらぼなどで執筆中。著書に「仕事のマナー「気がきかない」なんて言われるのは大問題ですっ! 」など。女の子が殴り合うマンガをこよなく愛しています。デレマスは大槻唯P。ミリオンはロコP。

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