こんにちは、きんどるどうでしょうです。きんどうが気になってる新刊を代わりに紹介してもらうゲストレビュー企画、第6回講談社ラノベ文庫新人賞佳作受賞作『白翼のポラリス』の紹介をいただきました。
こちらは9月28日までの講談社書籍最大50%ポイント還元の影響で、いまだけ40%還元が付与されていますね。
3月の配信以降、たびたびのセールで紹介してきましたが評価も上々な戦闘機ファンタジー。レビュアーさん曰く"結局のところ王道が一番面白いに決まってる"と言い切るボーイ・ミーツ・ガールをお楽しみください。
本当に面白い小説ってどんな物語なんだろう?「白翼のポラリス」
このたび書評を書かせていただきます、「A.薬缶α@akasat_aka_naha」と申します。よろしくお願いいたします。
今回、ご紹介させていただくのは「白翼のポラリス」というライトノベル作品であり、第6回講談社ラノベ文庫新人賞佳作受賞作です。
それにしても、ずいぶんと大それた記事タイトルにしてしまいましたが、今作「白翼のポラリス」はそうしたタイトルに相応しい傑作だと考えています。それでは早速、紹介に移らせていただきます。
結局のところ王道が一番面白いに決まってる!
ちゃっちゃと結論だけ書いてしまうと、そりゃあ王道が面白いに決まってるんです。ただ多くの人はなぜか王道を嫌う傾向にある気がします。その理由として「設定やキャラクターが王道に耐えられていない」というものがあります。
これはどういうことかと言うと、王道はある程度決まった道筋をゆくため「先が読めてしまう」という現象が発生します。なので世界観という土台や、それを演じるキャラクターの魅力が少しでも劣っていると、途端に興ざめしてしまうのです。
前置きが長くなりましたが、この「白翼のポラリス」は王道展開に耐え、加えて「やっぱり王道が最高なんだ!」と思わせてくれるだけの力強さと若々しさに溢れています。それではこの作品のどの点が優れているのか、詳しく説明していきたいと思います。
二人一組というキャラクターの魅力について
私が王道王道と言い続けている理由のひとつに、今作が「ボーイ・ミーツ・ガール」であることが挙げられます。簡単に言えば少年が少女に出会って事件に巻き込まれるというお話です。たとえば多くのジブリ作品がこの形をとっています。
主人公のシエルは父の後を継いで飛行機乗りとなった少年です。何よりも飛行機に乗ることが大好きで、飛行機乗りとして恵まれた才能を持ち合わせていますが、飛行機を降りると他人の顔色ばかり伺ってしまう気弱な少年になってしまいます。そんな彼はとある人物との出会いを境に、「自分が空を飛ぶ理由について」考え始めます。
ヒロインのステラは謎に包まれた、白ウサギのような少女です。普段は楚々としておとなしいのですが、少しばかりお馬鹿な面(世間知らず?)が見え隠れしていて、とても可愛らしいです。どういうことかステラはシエルの父を知っており、その縁でシエルに「別の国へ連れて行って欲しい」と依頼します。
シエルが理由を問いますが、ステラの答えは「今は話せない」の一点張りです。当然、シエルは訝しがりますが、報酬に目が眩んで依頼を引き受けてしまうのでした。
そんな二人は少年少女らしく、別々の強さと弱さを抱えています。そして二人は互いを支え合い、高め合う形で成長していきます。心象描写が丁寧に描かれているため、二人の葛藤がありありと伝わってきて、こちらまで身もだえてしまいそうになりました。やはり少年少女が自分の弱さを認め、成長していく様子は他では得がたい感動を与えてくれます。
世界観と設定の魅力について
今作の舞台となっている「ノア」は洪水によってほとんどの陸地が沈んでしまった世界です。そして陸地とともに多くの文明が失われ、遺産として残ったのが、永久機関エンジンを搭載しているスワローと呼ばれる飛行機です。
そして人びとは「船国」と呼ばれる、船の上に築かれた国家で暮らしています。ノアには多くの船国が存在しますが、それぞれ別の海流に乗って周回しているため、国家間の交友が難しいのが現状です。そのため国家間を唯一行き来するのが、主人公の操る飛行機、スワローというわけです。
設定だけを眺めてみても「まさにファンタジー!」といった感じです。私なんかはこうした設定だけで、もうわくわくしてしまいます。
海と空という世界観が徹底されているため、青々とした情景を思い浮かべるだけでなんだか心が弾む想いです。
同じく飛行機を主軸に据えたファンタジーの名作として「とある飛空士への追憶」がありますが、「白翼のポラリス」も負けずとも劣らない力作具合です。「とある飛空士」が好きな方、何よりファンタジーが好きな方はぜひとも手に取ってみるべき作品です。
総評「とにかく王道ロマンが好きなら手に取るべき!」
初めてラノベを手に取るあなたにも、ちょっと童心に返ってファンタジーを読みたくなったあなたにも、流行りのハーレム物では満足できないあなたにも、ちょっぴり日常に疲れてしまったあなたにも、とにかくありとあらゆる人びとにオススメしたくなる傑作です。
王道好きなら絶対に後悔させません!
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白翼のポラリス (講談社ラノベ文庫)
はるか昔に陸地のほとんどを失った蒼き世界、ノア。人々は巨大な船に都市国家を作り、わずかな資源を争って暮らしていた。飛行機乗りの少年・シエルは、そんな“船国”を行き来し、荷物を運ぶ“スワロー”。愛機は父の遺した白い水上機“ポラリス”(……)シエルはステラを乗せて飛び立つことに。その先には、世界の危機と巨大な陰謀が待ち受けていた。
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